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2023.05.08

活用事例

[ロボットが活躍する現場vol.26]微細加工の段取りロボを、中小が外販へ/協栄プリント技研(1/3)

協栄プリント技研(東京都調布市、小林明宏社長)は、金型や微細加工を得意とする中小規模の金属加工業の企業だ。機械加工に関する知見を生かし、協働ロボットを使った自動化システムを開発した。協働ロボットが金属加工用の工作機械に対して、被削物(ワーク)の着脱などの段取り作業をする。高度な位置決め精度がいるが、自社で開発することで同社のノウハウをシステムに盛り込んだ。今春からは中小規模の金属加工業向けに、同システムの外部販売を本格化する。

加工技術の特許を多数

協栄プリント技研の本社

 協栄プリント技研は、国内4拠点で計60人の従業員を抱える。海外にも生産拠点がある企業だ。
 材料を金型に当てて圧力を加えて成形するプレス加工用などの精密金型や、微細精密な部品加工を得意にする。

 プリント基板や電子部品、特殊なフィルム向けなど幅広い金型を手掛ける。例えば、スマートフォンでは各種基板やバッテリー、放熱シート、カメラ周りの光学機器部品などの生産に同社の金型技術が使われている。

 また、部品加工でも電子機器や光学機器、医療機器などの産業向けに多数の製作実績を誇る。それだけでなく、高級時計の部品では、時計ディレクターに開発設計の段階から加工面での助言をするなどの支援をする。工作機械の一種、マシニングセンタ(MC)を多く使い、加工精度は最高で±1μm(0.001mm)を保証する。

カットフォーミング加工の樹脂成形例(提供)

 加工技術を基に取得した特許も多い。
 例えば、カットフォーミング加工は、樹脂製の容器に通気穴を加工する方法。通気穴や出っ張り部分の形状を任意の形に作れる。プレスして凹形状の容器などを作る「絞り加工」を応用した。側面の一部分を壁として残しながら、残りの部分の多くをせん断して通気穴を作る。

 一般的なプレス加工でも、通気穴を打ち抜く加工は多い。しかし、そうすると穴抜きした部分の抜きくずが、容器内に残留する危険性がある。食品向けの容器などでは異物混入の原因になる。
 一方、カットフォーミング加工では、抜きくずが生じない。また、側面に穴が開くため、コバエなどの虫も入りにくいという。
 小林社長は「わが社の金型製作の技術と知見を突き詰めて完成できた」と胸を張る。

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