目玉は自動化! 欧州の工作機械展で最新提案続々と/EMOハノーバー2023
会場には数百台ものロボット
EMOは2年に一度、西暦奇数年に欧州で開かれる世界最大級の工作機械展だ。4年ぶりにドイツのハノーバーで開催された今回展には、世界45カ国・地域から約1850社・団体が出展した。会期6日間で130カ国・地域から約9万2000人が来場し、出展者と来場者の間で熱い商談が交わされた。
欧州では人手不足が深刻な課題で、金属加工業を含むあらゆる産業で自動化ニーズが高まっている。それだけに、今回展ではロボットなどの各種自動化機器と工作機械を組み合わせた自動化システムの提案が花盛りで、主要な工作機械メーカーであれば最低でも1つは何らかの自動化システムを展示していたと言っても過言ではない。
主催者のドイツ工作機械工業会(VDW)は、会期終了後に発表したプレスリリースで「会場には数百台ものロボットが展示された」とコメントした。
欧州市場での旺盛な需要を受け、主催者は協働ロボットに焦点を当てた「オープン・スペース・コボット・ソリューション・エリア」を会場内に設置。ファナックやドイツのKUKA(クカ)などの9社のロボットメーカーや周辺機器メーカーが協働ロボットの活用事例を提案した。
ロボットメーカーであり、工作機械や工作機械用数値制御(NC)装置メーカーでもあるファナックは単独でも大規模なブースを構え、白色の協働ロボット「CRXシリーズ」や緑色の協働ロボット「CRシリーズ」を大々的にアピールした。本来の可搬質量25kgに対して最大30kgまで把持できるオプションを備えた「CRX-25iA」や、最大50kgまで対応できるオプションを搭載した「CR-35iB」など、重可搬タイプの協働ロボットに大きな注目が集まった。
AMRやAGVでワーク搬送を自動化
数ある出展者の中でも特に自動化提案で気を吐いたのは、大手工作機械メーカーのDMG森精機だった。ホール2を丸ごと一棟使い、全体で39台の工作機械と21台の自動化システムを一堂に展示した。
自動化システムの目玉は、可搬質量2000kgの自律走行型搬送ロボット(AMR)「AMR 2000」。ワーク(被加工物)や切削工具に加え、加工時に排出される切りくずを運搬する台車「チップバケット」などの搬送も自動化できるのが特徴だ。森雅彦社長は「ドイツや北欧のお客さまを中心に既に納入しており、現在は客先でのテストを通じて価格低減や信頼性向上に取り組んでいる」と説明する。
自動車業界向けの生産設備を得意とするドイツの工作機械メーカー、グロブ・ベルケも無人搬送車(AGV)を初披露し、ワーク搬送の自動化を提案した。工作機械とパレットチェンジャー(ワークを載せたパレットを工作機械に供給する自動化機器)、AGVを組み合わせた一連のシステムとして展示した。
ワークを載せたパレットをAGVがパレットチェンジャーまで搬送するデモを披露し、来場者の注目を集めた。