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2024.03.13

連載

[ショールーム探訪 vol.22]“共創”拠点を設けたデベロッパーの決意に触れた/野村不動産「TechrumHub」(1/3)

野村不動産は、物流現場の幅広い課題解決を目的とした取り組み「Techrum(テクラム)」を推進している。ロボットや搬送機器、デジタル技術など物流に関連する技術を持つ企業が多く参画し、連携や協力による「共創」で新たなソリューションを生む。その研究開発や実証の拠点として、千葉県習志野市に「TechrumHub(テクラムハブ)」を2021年に設けた。ショールームも兼ねており、参画企業の最新ソリューションを見学できる。今回は定期開催される見学会に参加し、同社の決意の一端を見た。

実際の物流施設内に設置

物流施設のランドポート習志野の中にあるテクラムハブを訪問した

 テクラムハブは、野村不動産が運営する物流施設「Landport(ランドポート)習志野」の中にある。月に2日、午前と午後の2回で合わせて計4度、希望者向けに見学会を開く。今回はその見学会に参加した。
 JR京葉線の新習志野駅から車で10分ほど。東関東自動車道「谷津船橋IC」からも約4kmと近い。東京湾に面しており、周囲も物流倉庫や工場が多い地域だ。

 テクラムハブに着くと、テクラムの取り組みや同施設の概要説明を受ける。その後、合計で13カ所の出展各社の展示を見学し、最後に各社の担当者と個別相談の時間がある。

75社が参画

テクラムでは、倉庫内作業の自動化や省人化を中心に、物流全体の効率化を提案する(同社資料)

 まずは、テクラムや施設の概要についての説明を受けた。
 テクラムは幅広い業種の企業が参画するコンソーシアムだ。参画企業はピッキングや仕分け、梱包などの各種ロボットや専用機、それらをまとめた統括的なデジタル技術など物流の自動化や省人化に向けたソリューションを扱うメーカーだけでなく、通信事業者や金融、リース会社など多岐にわたる。
 21年4月に開始し、今年2月時点では75社が参加している。

 国内では、電子商取引(EC)サイトの需要拡大などで物流量が増加し続ける一方、トラック運転手や倉庫内作業員などの人手が不足する。
 物流業界の大きな課題に対して、野村不動産は荷主企業とソリューションの提供企業を結び付けるテクラムを始めた。倉庫内作業の自動化や省人化を中心に、その前後にあたるトラックの運搬時のデジタル化を含め、生産性を上げる提案をする。

荷主企業が自動化や省人化を進める時に抱きやすい課題(同社資料)

 物流の課題解決に向けたソリューションは世の中に数多く存在する。多いからこそ、荷主企業の「どの工程から改善を着手すべきか」といった悩みは絶えない。また、「展示会などの会場だけでなく、具体的な倉庫での動きも見たい」などの声もある。

 そこで野村不動産は21年9月、デジタル技術を体感し、実機の実演を通じて各社の提案を検証できる施設としてテクラムハブを開設した。22年4月からは定期的な見学会も開催し、これまで約200社から500人ほどが訪れた。
 そういった概要説明を受けた次に、各社の展示の見学となる。

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