[SI基礎講座vol.10] 生産技術概論⑧
経常利益率は3~8%程度
ここからは、ロスコストの重さについて考えていきましょう。
利益は、まず粗利があって、そこから販売費などを抜くと営業利益になり、営業外損益を除くと経常利益になります。そこからさらに特別損失や法人税などが引かれて純利益となります。
一般的な製造業では、経常利益がおおよそ3%から8%程度と言われています。もちろん、業種ごとに違いはあり、会社ごとにも大きな差はあります。
資本金が1億円未満なら、経常利益が製造業で4.2%程度、非製造業で3.4%程度です。売り上げが上がったとしても経常利益率が低いと、下手をすると自転車操業のような形がなりかねません。この利益率をどう上げていくかは、重要なポイントの一つです。
ロスコストの回収に必要な売り上げとは
今回のテーマであるロスコストに入っていきましょう。ロスコストがあった時に、それを回収するために必要な売り上げはどの程度か。
例として100万円の売上高で経常利益3万円、つまり経常利益率 3%の場合を考えてみましょう。もし50万円の不具合が出たら、そのロスコストを回収するためにはいくら売り上げが必要でしょうか。答えは2500万です。
経営者はこの辺りを意識していても、意外と現場の人たちはロスコストの重さを認識していないケースが多いです。こうしたコストを現場の人にも意識してもらうだけで、ずいぶん変わります。
私の経験を少しお話ししましょう。以前、品質保証の担当をしていた際、社内に品質の重要性を分かってもらうため、金額換算の数字を出したことがあります。通常は不良率などを示しますが、それをお金に換算するといくらの損失になるのかを計算し、その金額を役員から部長・課長、現場スタッフにまで提示しました。
最初の半年間の損失は7000万円で、みんなびっくりしていました。その後、品質向上に対する取り組みを各部署でしてもらうと、次の半年ではいきなり損失が半減しました。このように、コストに対する意識を社内で共有していくことが重要です。
生産技術概論はここまでです。「ロボット活用ナビ」などのサイトでロボットの導入事例を探すことができますので、ぜひ皆さん参考に見てみてください。
――次回は「品質管理①」です
(構成・ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
※この記事は2023年9月12日~14日に日本ロボットシステムインテグレータ協会が主催した「ロボットSI基礎講座」を誌上講座として収録したものです。「ロボットSI基礎講座」の詳細情報の確認や申し込みは、同協会の公式ウェブサイト内「ロボットSI基礎講座」のページから。
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