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2025.01.28

床下掘り下げ、ロボット自動倉庫の設置スペースを確保/AutoStore System、東亜ディーケーケー、オカムラ

ノルウェーに本社を置くオートストアの日本法人、AutoStore System(オートストアシステム、東京都中央区、安高真之マネージングディレクター)は昨年12月17日、ロボット自動倉庫システム「AutoStore(オートストア)」の導入事例見学会を開催した。場所は計測機器メーカー東亜ディーケーケー(東亜DKK)の、埼玉県狭山市にある「狭山インテグレーションセンター(SIC)」。AutoStore Systemの安高マネージングディレクターは「部品の在庫管理の効率化になるため製造業でもオートストアの導入事例は多く、少量多品種生産の現場に役立つ」と語る。

柔軟性を発揮

オートストアを導入した、東亜DKKの狭山インテグレーションセンター

 東亜DKKは分析機器や検知器など多種多様な計測機器を製造する。「水」「大気」「医療」「ガス」の4分野をメインとしており、特に水質測定器や大気中の微粒子状物質の測定装置などでは国内トップシェアを誇る。
 東亜DKKの常務取締役を務める中島信寿埼玉事業所長兼生産本部長は「わが社は計測機器の開発から製造、販売、アフターサービスまで一貫してできる。販売も自社でするため、出荷作業の効率化はかねてより課題だった」と語る。

 昨年8月に稼働したSICは生産設備や倉庫などを備え、同社の生産と物流において重要な役割を果たす。4階建てで延べ床面積は約8200㎡。その1階にオートストアを設置した。計測機器などの製品約700種類と、それらのメンテナンス部品4000種類以上をオートストアに保管する。
 東亜DKKで執行役員を務める生産本部の斉藤利男生産管理部長は「自動倉庫の導入に当たり5社ほどの製品を検討したが、最終的には1階の倉庫用のスペースに必要な保管容量が収まることからオートストアに決めた」と言う。

ビンは6740個、そのうち1980個を床下に設置

 SICでのオートストア導入の大きな特徴は、保管棚の設置スペースを確保するために床下の一部を掘り下げた点だ。オートストアのビン(専用コンテナ)を、床より上には垂直方向に8段分置き、床下を使うことで部分的にはさらに5段設置できるようにした。

 導入に当たり、オートストアの正規代理店のオカムラが設計や施工を担った。オカムラの物流システム事業本部物流システム営業部の近藤慎一営業部長は「コンテナを出し入れするロボットが棚の上を走るため、棚の間に通路を設けずに済み、保管効率が高いのがオートストアの利点。SICは天井の高さがそこまでなかったことから、上部空間だけではなく床下のスペースも活用した」と話す。
 オカムラはこれまで国内に60件ほどオートストアを販売してきたが、部分的に床下を掘り下げる事例は初めてという。オートストアシステムの安高マネージングディレクターは「レイアウトの柔軟性が高い点がオートストアの一番の特徴で、その柔軟性がまさに発揮された事例」と語る。

 見学会ではAutoStore Systemと東亜DKK、オカムラの3社によるトークセッションも実施された。AutoStore Systemの安高マネージングディレクターが進行役を務め、東亜DKKの中島常務や斉藤執行役員が導入後の効果を、オカムラの近藤部長が施工時の工夫などを語った。

<トークセッションの様子は次ページ>

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