生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2025.04.14

連載

[連載コラム:いまさら聞けないキーワード]vol.12 デバンニング

最近よく聞く言葉だけど、「それどんな意味?」と聞かれたら自信を持っては答えにくい――。そんな言葉はありませんか? 連載コラム「いまさら聞けないキーワード」では、そんなロボット業界のキーワード・新ワードを紹介します。今回は、倉庫内物流作業の中でも「きつく」「危険」な作業の一つである「デバンニング」について紹介します。

 デバンニングとは、コンテナやトラックの荷台に積まれた荷物を一つずつ取り出す荷降ろし作業を指す言葉です。荷物は重く、高く積まれている場合も多いため、人力でデバンニングをするのは肉体的にきつく、けがをする危険もあります。それゆえ機械化や自動化のニーズが高い作業です。以前からコンベヤーを使った搬送の省力化が提案されていましたが、最近ではロボットなどを使った自動化システムも製品化されています。

 しかし、省力化や自動化はまだ一般的とは言えず、人力でデバンニングをする現場が多いのが現状。省力化や自動化を阻む要因として①倉庫の全てのトラックバース(荷物の積み降ろしの作業場)に設備を常に置くのはコストやスペースの面で非現実的、②屋外に面したトラックバースでは設備が風雨にさらされる、③荷物が到着次第速やかにデバンニングしなければならいため、人手を集めた方が早い場合もある――などが挙げられます。

デバンニングシステムは「国際ロボット展2023」でも注目された(写真は中国・XYZロボティクスのデバンニングシステム)

 デバンニング用の自動化システムには、垂直多関節ロボットと無人搬送車(AGV)を組み合わせることで移設できるタイプ、コンベヤー一体型のアームで荷降ろしの効率を重視したタイプなどがあります。運用の柔軟性やデバンニングのスピードといった前述の課題も克服されつつあり、イニシャルコストや環境整備の必要性に対する一層の理解が求められます。

 なお、デバンニングの対義語として、荷物をコンテナや荷台に積み込む作業をバンニングと言います。また、近しい用語としてデパレタイジング(パレット上の荷物を降ろす作業)、パレタイジング(荷物をパレット上に積む作業)もあります。

TOP