最短1日からでもレンタル可能、用途ごとにパッケージ化/高島ロボットマーケティング 中才悦夫社長
協働型でロボット業界参入
――まず最初に、TRMとはどのような会社ですか?
建築資材や各種産業資材を扱う商社、高島の子会社として2018年に設立しました。産業用ロボットの市場は今後、間違いなく成長します。中でも協働ロボットは新しい分野なので、市場の伸びも大きく、新規参入の余地もまだまだあります。そこで、協働ロボットを扱う子会社TRMを立ち上げました。販売もできますが、現状のメインはロボットのレンタルサービスです。
――なぜレンタルサービスを?
協働ロボットは操作の簡単さや制約の少なさから、今後、中小企業などこれまで産業用ロボットをあまり使ってこなかった層にも普及が期待されます。しかしまだまだ、導入にはハードルがあります。具体的なロボットシステムの設計や構築は専門のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)に依頼すればできますが、顧客の側も発注する際にどのようなシステムを作ってほしいか整理し、要求仕様書をまとめる必要があります。しかし協働ロボットをあまり知らない段階では、適切な要求仕様書など作れません。大手企業なら試しにまず1台買ってみて触ってみるのも一つの手ですが、中小企業ではなかなか難しいと思います。
買う前に借りて確認
――協働ロボットをあまり知らない状態で発注すると、どうなりますか?
希望を全て詰め込むと大掛かりな自動化システムになって高額になりますし、プログラムも複雑になって自社では変更が難しくなります。「手軽に自動化でき、プログラムの変更も簡単。その工程で不要になった場合も移設して、別工程で使うことができる」というのが協働ロボットの特徴のはずですが、これではそのメリットを生かせません。この課題を解決するのが、TRMのレンタルサービスです。協働ロボットをまずは短期間借りてみてさまざまな用途を検証すれば、どのような作業に最適かなど分かるようになります。要求すべき仕様も具体的になりますので、過剰スペックによる無駄なコストも削減できます。
――他にもロボットレンタルを手掛ける企業があります。
他社は、半年以上など比較的長期の貸し出しや、レンタル後の販売を前提としていることが多いようです。レンタルだけで事業を成立させるなら、稼働率を維持することが必要です。営業担当者が顧客を回って長期案件の受注を目指すのも一つの方法ですが、当社は、ウェブ中心の拡販スタイルで、短期案件を数多くこなすことで稼働率を維持しています。短期だと一件一件の単価は低いですが、引き合いは多くあります。また継続的なIT投資による業務の効率化も進んでおり、短期間のレンタルを提供し続けるカラクリがしっかりあるのです。また、ユーザーにとっては期間が短い分、安価で利用でき、最短1日から1日単位で自由度の高い期間設定ができます。実際に1日だけレンタルした利用者はまだいませんが、数週間や1~2カ月など、短期の利用者が多くいます。利用時に設定したプログラムを要望に応じて保管管理しているので、リピート時もすぐに利用再開することが可能です。