初心に返り中小向けの自動化を/三機
いかに安くて良い製品を提供するか
低価格での提案を強みに持つ三機だが、ロボットはただ安ければいいわけではない。作業精度や安全性など顧客の要求するレベルをクリアする必要がある。
「良い製品を作るだけなら、コストをかければできる。ただ、いかに安く作るかを考えた場合は、どこのコストを省けるか、そこが非常に難しい」と木島社長。三機は、機械設備を設計、製造する岐阜工場を持っている。その強みを生かし、ロボット単体ではなく、周辺装置と組み合わせたシステムを提案できる。顧客ごとの要求精度や安全面のレベルに合わせ、要求に適した設計や装置を組み合わせられる。
また、10月からは同社の扱う協働ロボットの価格をさらに引き下げ、求めやすい価格で導入のしやすさをアピールする。「安い上に、要求レベルをクリアした高品質な製品を提供するのは難しいが、重要なこと。利益を得るよりも、まずはさまざまな分野で広く使ってもらい、より多くの人に知ってもらいたい」と話す。
思いがけない引き合い
PSには企業だけでなく、大学や工業高校などの学校関係の来場者もあった。
教育機関では技能教育などの教材として、気軽に導入できる比較的安価な協働ロボットが注目されているという。オーボiシリーズやエルフィンはそれらニーズに合致する。
また、ロボットを取り扱い始めたことで、学校以外にも、これまで接点のなかった研究機関や産業の会社ともつながりが持てたという。
「これまでの顧客は自動車関連がほとんどだったが、他業種の会社と協働ロボットを通じて知り合えることで、新しい情報を得られたり、メインの加工補助具や工具のユーザーの開拓にも役立っている」と木島社長はメリットを話す。
次世代の事業の柱として同社が期待を寄せる協働ロボット。今後は積極的に会員制交流サイト(SNS)などを活用し、接点のなかった会社にも知ってもらうことで顧客の裾野を広げ、実績を積み重ねる考えだ。
(ロボットダイジェスト編集部 渡部隆寛)