AMRと自動倉庫を活用した新物流拠点を公開/山善
東大阪市に大規模物流拠点を開設
AMRと自動倉庫の活用で出荷能力1.5倍に
ロジス大東ではコンテナを載せた台車を作業者が動かすが、ロジス大阪は面積が広いため、従来通り人が運ぶとなると作業時間が増えて作業者への負担も増してしまう。その解決策として、ベンチャー企業のLexxPluss(レックスプラス、川崎市川崎区、阿蘓将也社長)が開発するAMR「Lexx(レックス)500」を10台導入した。レックス500が台車をけん引して運ぶ。
「SLAM(スラム)式と2次元コード式の2つの制御方式を併用できることに加え、けん引重量が最大500㎏と重量物にも対応するため、レックス500を導入した」と、山善のグループ企業であるヤマゼンロジスティクス(大阪市西区、宮﨑公博社長)の辻村宗一ロジス大阪所長は明かす。
また、ダイフクの立体自動倉庫を在庫の入出庫用、商品のまとめ作業用で1棟ずつ導入した。商品の入出庫を自動化するため、作業者が商品を都度探し回る必要がなくなる。
在庫の入出庫用のものは、内部に仕切りがあるコンテナが作業台に運ばれたら商品の格納場所を光で照らし、誤った場所に手を入れたら警告音が出る「プロジェクションマッピングシステム」を採用し、ヒューマンエラーの発生を防ぐ。
商品のまとめ作業用の自動倉庫は、山善が70年以上続けている「おまとめ配送」に使う。おまとめ配送とはバラバラに注文が入った商品を、納品先ごとにまとめて梱包して発送する方式のこと。商品が入った青色のコンテナが作業台に流れてきたら、その商品に対応した緑色のおまとめ配送用コンテナが自動倉庫から運ばれる。作業者はおまとめ配送用コンテナに商品を移し替えるだけで済むため、工場内を歩き回って商品をピッキングする必要がなくなる。
従業員数はロジス大東よりも30人少ない100人で運用するが、AMRと自動倉庫による倉庫内物流の自動化で、商品の出荷能力はロジス大東より約1.5倍の向上を見込む。
山善は「物流2030年ビジョン」を掲げ、22年から30年にかけて物流部門の強化を図る。25年から27年の期間で自社便にとどまらず、メーカーや販売店といった他社から輸配送業を受託できる体制の構築を目指す。ロジス大阪の開設はその足掛かりとなる。「ロジス大阪での輸配送業の受託は早ければ4月に開始予定。関東の物流拠点であるロジス東京(埼玉県北本市)でも実施したい」と松田執行役員は意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)