[連載コラム:いまさら聞けないキーワード]vol.11 食品仕様【後編】
次に、「潤滑油の安全性」。減速機などロボットの駆動部品の多くに潤滑油が使われていますが、洗浄時の衝撃やシールの劣化などで潤滑油が飛散する可能性があります。万が一、潤滑油が食品に混入し消費者が口にした場合、健康被害の恐れがあります。潤滑油の安全性に関する規格として、米国の国立公衆衛生財団(NSF)の認証が世界標準で用いられます。
NSFの規格にはH1、H2、H3、3Hの4つがあり、うちH1が唯一、食品に接触する場所で使用でき、食品に混入しても許容濃度の上限はあるものの健康リスクが低いとされます。従って、少なくとも食品に近い場所で稼働するロボットや周辺装置にはH1規格の潤滑油を使う必要があります。
その他、「表面処理」も特別な対応が求められます。ロボット本体には塗装がはく落しないよう特殊なめっきを施すなどの対策が取られます。ハンドには、食品や汚れの付着を防ぐコーティングが効果的です。
このように、食品仕様のロボットシステムには他の用途とは異なる配慮が必要で、ルールや規制も厳密です。導入にあたっては、ロボットメーカーやシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)、ユーザーがしっかりと連携することが肝でしょう。
〇写真の元記事はこちらから:新型コントローラー・ペンダント発売、食品仕様もラインアップ/エプソン販売