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2025.01.22

連載

[注目製品PickUp! vol.75]3Dビジョンシステムの撮影速度を3倍に/Zivid「Zivid2+R」

ノルウェーに本社を置くZivid(ジビッド)は昨年12月、ロボットアームの手首に取り付けるタイプの3Dビジョンシステムの新製品「Zivid2+R(ジビッド・ツー・プラス・アール)」を発売した。従来比3倍の撮影速度を実現した機種で、3Dの点群情報だけでなく、色の情報も同時に取得できる。透明な対象物(ワーク)や光を反射するワークも精度よく認識可能だ。「Zivid2+Rならビジョンシステムがボトルネックにならず、システム全体の生産性を高められる。3Dビジョンシステムには安価なものもあるが、Zivid2+Rのような高性能・高品質な製品を選ぶべき」と黒澤和人セールスディレクターは言う。

昨年12月に発売した新製品

 Zividは、ノルウェー最大の研究機関であるSINTEF(産業科学技術研究所)から2015年にスピンアウトした3Dビジョンシステムのメーカーだ。昨年日本事務所を開設し、日本市場での販売拡大に力を入れる。

 同社はロボットアームの手首に取り付ける3Dビジョンシステム「Zivid2」と「Zivid2+」を販売してきたが、昨年12月に新たにZivid2+Rをラインアップした。

「Zivid2+Rでは撮影速度が従来比3倍になった」と話す黒澤和人セールスディレクター

 Rは「ラピッド(=速い)」を意味し、Zivid2+と比べて撮影速度を3倍に高めた。しま模様などの複数パターンの光を照射して奥行きを認識する方式を採用しており、「この方式では撮影に1.5秒程度かかる競合製品も多いが、Zivid2+R なら0.25秒で撮影が完了する」と黒澤ディレクターは語る。パターン照射は一瞬で、注意していないとストロボ光のように見えるほどだ。
 組み立てや検査に適したモデルや、パレット(荷役台)からの荷降ろしに適したモデルなど、認識範囲が異なる3タイプをラインアップする。

色情報も同時に取得

訪問先でデモが可能(写真は取材場所のニュースダイジェスト社東京支社の会議室)

 認識精度についてはZivid2+など従来製品でも顧客からの評価は高かったが、光を感知するセンサーの感度をさらに高め、光環境など外乱の影響をより受けにくくした。透明なワークや光沢のあるワークでも精度よく認識できる。
 奥行き情報のある画像を取得すると同時に、色の情報も取得可能だ。重なった薄いワークや、パッケージの裏表なども認識できる。
 「人工知能(AI)の機械学習では、取得するデータの品質が学習の品質に直結する。その点、Zivid2+Rなら欠落の少ない高品質なデータを取得でき、AIの学習にも最適」(黒澤ディレクター)。

奥行き情報も色情報も取得できる(取材時に撮影)

 撮影時のデータ精度が高いため撮影後のノイズ処理やフィルタリング処理の負荷も小さく、システム全体の生産性向上にもつながっているという。
 「あるユーザーの事例では、重なり合った郵便物をばらばらにする作業で1時間当たり800個~1000個程度だった処理数を、1700個まで高められた。安価なビジョンシステムも市販されているが、そこが生産性のボトルネックになるケースも少なくない。3Dビジョンシステムは多少価格が高くても、Zivid2+Rのような高性能・高品質な製品を選ぶべき」と黒澤ディレクターは語る。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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