生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.12.07

イベント

5G環境で協働ロボットの稼働を可視化/iRooBO Network Forum

中小企業の製造現場の自動化に

制御盤に取り付けられたエッジコンピューター

 デモ体験会では、IATCを製造現場、IATCラボを遠隔地の本社などと想定。IATCの自動化設備は直交3軸のロボットで、小物の搬送ができる。そばには制御盤があり、定盤上には金型ヒーターが設置してある。直交ロボットの加速度センサーや、金型ヒーターの温度センサーなどからデータを取り、IATCラボに送信してモニターに表示する構成だ。
 設備周辺のシステム開発には、スリーアップ・テクノロジー(大阪市北区、三上典秀代表)が協力した。

温度や湿度、光量、加速度、金型温度などがモニタリングされている

 デモ体験会ではまず、制御盤に設置したエッジコンピューターなど設備側のシステムの概要を説明。加速度センサーや温度センサーから得られる情報はアナログデータのため、デジタルに変換して送信する。アナログデータを人が読み取って紙に記録する製造現場は、今も少なくない。しかし業務効率から15~30分ごとの記録が限界だ。今回披露したシステムでは5秒ごとに記録するため品質管理もしやすい。
 続いてIATCラボに移動し、ヘッドマウント形のウェブカメラを使いリモートで設備のトラブルに対応する様子を披露した。坂本会長は「人手に頼る中小企業の製造現場のDXを手助けしたい」と話す。

協働ロボットの事例も

例えば協働ロボットが多数稼動する現場でも、5G環境なら同時に監視できる

 また、ユニバーサルロボット(UR)の協働ロボットに不定形物の輪郭を検出する人工知能(AI)を組み合わせたピッキングシステムの稼働状況をモニタリングするシステムも紹介した。

 坂本会長は「ロボットはシステム全体のために常にさまざまなデータを出力しており、モニタリング自体は難しくない。ただ、現実には製造現場に通信インフラを敷いていない中小企業がまだまだ多いため、そうした現場でDXを実現するにはワイヤレスでつなぐシステムが必要。ウェブカメラなども使いながらリモートで多数のロボットをモニタリングするにはリッチな通信環境が不可欠なため、将来性を考えれば5Gが最適だ」と語る。

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

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