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2018.12.12

連載

[注目製品PickUp!Vol.4]こんな構造見たことない、狭い空間を縦に使う【前編】/セイコーエプソン 「Nシリーズ」

編集部が注目した特徴的な製品を紹介する「注目製品PickUp!」の第4弾は、セイコーエプソンの垂直多関節ロボット「Nシリーズ」。折りたためる独自のアーム構造を採用したユニークな製品だ。アームの根元から次の関節(第二関節)までがとても長く、第二関節から内側に折りたたむようにアームを使う。なぜこんなに変わった構造を採用したのか、そのメリットとは。ロボティクスソリューションズ事業部長の吉田佳史執行役員に話を聞いた。

広がる垂直多関節のラインアップ

 プリンターなどで知られるセイコーエプソンは、産業用ロボットのメーカーでもある。時計の組み立てがルーツの会社であるため、精密な作業ができる小型のロボットに強みを持つ。
 特に水平多関節(スカラ)ロボットではナンバーワンのシェアを誇るが、近年は垂直多関節ロボットのラインアップ拡充にも力を入れる。

垂直多関節ロボット「Nシリーズ」を2016年に追加

 2015年には4kg可搬タイプだけだった垂直多関節ロボット「Cシリーズ」に、8kg可搬の「C8」を追加。他にも垂直多関節ロボットの新シリーズとして「Nシリーズ」を新たに開発し、16年に2.5kg可搬の「N2」、18年に6kg可搬の「N6」を発売した。さらには18年度中に新たに「VTシリーズ」を投入する計画だ。

 Cシリーズは高速かつ高精度な作業ができるハイエンドモデルで、VTシリーズは価格を抑えたエントリーモデル。一方、今回取り上げるNシリーズは、単純にグレードでは表現できない、独創的なロボットだ。

第二関節から折りたたんで使う

 Nシリーズの最も大きな特徴が、アームの構造だ。左下が一般的な構造のCシリーズで、右下が特殊な構造のNシリーズ。
 比較すると、Nシリーズはアームの根元から次の関節(第二関節)までが長く、そこを頂点にアームを折りたたんだ姿勢をしている。もちろん作業時にはアームを伸ばすこともできるが、折りたたんだ状態が基本姿勢だ。
 「このような構造のロボットは他になく、とてもユニークな製品」とロボティクスソリューションズ事業部長の吉田佳史執行役員は話す。

  • 一般的な構造のハイエンド機種「Cシリーズ」

  • アームを折りたたむ独自構造の「Nシリーズ」

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