ワーク交換だけが自動化じゃない!加工や測定で多彩に活用【後編】
ロボットに工具を持たせる
ロボットは先端にハンドを付けて加工材料の付け替えに使うことが多いが、ドリルなどの切削工具を持たせて加工設備として使うこともできる。
昨年11月に開かれた工作機械の専門展「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」では、トライエンジニアリング(名古屋市守山区、片山誠二社長)が最大可搬重量130kgの大きな垂直多関節ロボットを使い、ロボットによる切削加工を披露した。
切削工具の交換ができ、金属の塊から求める形状を削り出すエンドミル加工や、穴を開けるドリル加工、穴の内側にねじ山を作るタップ加工、バリ(加工時にできる不要な突起)の除去など、幅広い加工が可能だ。細いドリルで穴開けをしたい場合は高い回転数が必要になるため、ロボット先端に付けた加工用モーターも高回転のタイプに自動で交換できる。
アルミなどの軽金属だけでなく、鋼材も加工可能だ。「『ロボットでここまでできるのか』と驚く人も多い。精度は工作機械に及ばないが、大型工作機械と比べ圧倒的に安価」と岡丈晴取締役は言う。
ロボット2台の連動でバリ取り
ナカニシはファナック製の垂直多関節ロボット2台で、金属部品のバリ取りシステムを構築した。バリは切削工具の切れ味など、さまざまな要素が関係して大きななどが変わるため、自動化が難しく、まだまだ人手での対応が多い工程だ。展示では1台のロボットが被加工材を把持し、もう一方が手持ちドリルのようなバリ取り専用の器具でバリの発生しやすい加工面の角の部分を研磨した。ロボット2台で作業することで、被加工材の固定器具などが不要になり、複数の面を加工する際の置き換えなども必要ない。
「手作業だと作業者によって仕上がりに個人差があるが、ロボットだと品質を均一にできる。国内のシステムインテグレーター(SIer)の技術が向上しており、複数台のロボットが連動するシステムの導入も増えている」(説明員)。
またロボットに持たせる器具を変えると、表面の磨き加工や簡単な穴あけ、面取りなどにも対応できる。