[SIerを訪ねてvol.8]ウォータージェットで事業拡大!今後は脱ファブレスへ【前編】/ROSECC
創業は1986年
名古屋市を東西に横断する名古屋市営地下鉄東山線。名古屋駅や栄駅など、都市部を通ることから、市営地下鉄の中でも利用者数が最も多い。
名古屋駅から栄駅方面に向かう藤が丘行きの電車に乗って26分。終点の藤が丘の一つ手前の本郷駅で降り、南に10分ほど歩いたところに今回訪問したROSECC(ロセック)の本社がある。近くには名古屋第二環状線や東名高速道路のインターチェンジもあり、自動車でも訪問しやすい。
ロセックの創業は1986年。社員数は現在、矢本洋一社長を含め16人だ。2009年に日立造船グループのプレス加工機メーカー、エイチアンドエフ(福井県あわら市、柿本精一社長)の完全子会社になり、今は日立造船グループの一員としてロボットシステムの設計などを担う。
半分近くはWJシステム
ロセックはロボットシステムの中でも、高圧水を利用してウレタンなどの柔らかい材料を切断するウォータージェット(WJ)システムを得意とする。創業当初からWJシステムを手掛けており、自動車産業を中心に納入実績を重ね、SIerとして成長してきた。
1989年から2018年までの30年間で、累計で約400台のロボットシステムを納入した。矢本社長は「そのうちの半分近くをWJシステムが占める」と説明する。
WJシステム以外では、部品や完成品をロボットで搬送するハンドリングシステムの納入が多い。専用の刃物やレーザーヘッドを搭載したロボットを使って材料を切断するタイプのロボットシステムの納入実績もある。
WJシステムは、主にフロアカーペットなど自動車の内装材を切断するのに使われる。
そのため、ロセックの取引先は自動車産業が多い。ホームページの主要取引先の欄には、トヨタ紡織やHOWAといった内装部品メーカーをはじめ、トヨタ自動車やデンソー、アイシン精機などの自動車関連の大手企業が名を連ねる。
また、住宅設備関連の企業や金属加工を手掛ける中小企業との取引もある。当ウェブマガジンで19年5月9日、10日に記事を公開した山田製作所(愛知県あま市、山田英登社長)も取引先だ。山田製作所が17年と18年に導入した、2台のロボットシステムの設計をロセックが担った。