「中小企業にぴったり」のローディングシステムに注目/ブラザー工業
スタート前から大勢の来場者
シンプルな動作で使いやすく
新商品発表会で特に注目を集めたのは、5月10日に発売したスピーディオ専用のローディングシステム「BV7-870」だった。
最大可搬質量が7kgで、アームの全長が870mmの垂直多関節タイプのローディングシステムだ。
最大の特徴は使いやすさ。垂直多関節ロボットは6軸構成のタイプが多いが、BV7-870は軸数を4軸に抑えた。作業内容も、スピーディオへの部品の供給と取り出しだけに絞った。
一般的な垂直多関節ロボットは自由度が高い分、ティーチング(ロボットに動作を覚えさせること)が難しく、専門的な知識がないと扱いにくい。一方、BV7-870は軸数を抑え、作業内容も特化した分、垂直多関節ロボットに比べ動作がシンプルでティーチングがしやすい。会場でも、大勢の来場者がその動作に興味を示した。
BV7-870は見た目も、役割もロボットと変わらない。しかし、同社はあえて「ロボット」との表現を使わず「ローディングシステム」とした。ティーチングなど「扱いが難しい」とのイメージを持たれがちなロボットとは違うことを、名前を通じてアピールする狙いだ。
低コストで導入できる
BV7-870はスピーディオ専用の設計なので、刈谷工場であらかじめ工作機械とセットアップした状態で顧客に納入できる。そのため、立ち上げまでの作業工数や納期を削減でき、導入時の顧客の手間を軽減できるのもポイントだ。
また、低コストで導入できるメリットも大きい。
経済産業省などの資料を見ると、BV7-870と同じ作業内容で一般的な垂直多関節ロボットを導入すると、約1000万円の費用がかかるという。ロボットの本体価格が300万円だったとしても、ロボットハンドや安全柵、そしてシステムの構築に700万円程度の費用が別途発生する計算だ。
一方、BV7-870は垂直多関節ロボットよりも本体価格こそ高いものの、工作機械とセットアップした状態で納めるので、システム構築費を抑えられる。そのため、垂直多関節ロボットを使う場合に比べ、導入にかかるトータルコストを低減できるという。
柳克也産業機器営業部長は「これまで操作の難しさやコストの高さから導入に二の足を踏んでいた中小企業の顧客にぴったりの製品」と自信を見せる。
現在は、スピーディオの中でも主力機種の「S300X2」「S500X2」の2機種にだけ対応する。今後、対応機種を順次拡充する考えだ。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)