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2019.06.20

イベント

「中小企業にぴったり」のローディングシステムに注目/ブラザー工業

ブラザー工業は6月4日、小型工作機械を製造する愛知県刈谷市の刈谷工場内のショールームで「新製品発表会」を開催した。特に注目を集めたのは自社工作機械専用のローディングシステム「BV7-870」だった。動作がシンプルで使いやすく、低コストで導入できる点を特徴に持つ。まさに「中小企業にぴったりの製品」(柳克也産業機器営業部長)だ。

スタート前から大勢の来場者

過去最多の470人が1日で来場

 ブラザー工業はプリンターやミシンで有名だが、「SPEEDIO(スピーディオ)」のブランドで小型工作機械も製造、販売する。
 2019年6月4日には、工作機械の主要生産拠点である刈谷工場内のショールームで「新商品発表会」を開催した。18年11月に東京都内で開かれた工作機械見本市「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」で披露した新製品を中心に、スピーディオブランドの工作機械を数多く展示した。

 1日だけの開催だったが、過去最多の470人が詰め掛けた。10時からのスタートだったが、その10分前にはすでに大勢の来場者が集まった。

シンプルな動作で使いやすく

部品の供給と取り出しに特化したBV7-870

 新商品発表会で特に注目を集めたのは、5月10日に発売したスピーディオ専用のローディングシステム「BV7-870」だった。
 最大可搬質量が7kgで、アームの全長が870mmの垂直多関節タイプのローディングシステムだ。

 最大の特徴は使いやすさ。垂直多関節ロボットは6軸構成のタイプが多いが、BV7-870は軸数を4軸に抑えた。作業内容も、スピーディオへの部品の供給と取り出しだけに絞った。
 一般的な垂直多関節ロボットは自由度が高い分、ティーチング(ロボットに動作を覚えさせること)が難しく、専門的な知識がないと扱いにくい。一方、BV7-870は軸数を抑え、作業内容も特化した分、垂直多関節ロボットに比べ動作がシンプルでティーチングがしやすい。会場でも、大勢の来場者がその動作に興味を示した。

 BV7-870は見た目も、役割もロボットと変わらない。しかし、同社はあえて「ロボット」との表現を使わず「ローディングシステム」とした。ティーチングなど「扱いが難しい」とのイメージを持たれがちなロボットとは違うことを、名前を通じてアピールする狙いだ。

低コストで導入できる

現在は主力機種の「S300X2」「S500X2」の2機種に対応する

 BV7-870はスピーディオ専用の設計なので、刈谷工場であらかじめ工作機械とセットアップした状態で顧客に納入できる。そのため、立ち上げまでの作業工数や納期を削減でき、導入時の顧客の手間を軽減できるのもポイントだ。

 また、低コストで導入できるメリットも大きい。
 経済産業省などの資料を見ると、BV7-870と同じ作業内容で一般的な垂直多関節ロボットを導入すると、約1000万円の費用がかかるという。ロボットの本体価格が300万円だったとしても、ロボットハンドや安全柵、そしてシステムの構築に700万円程度の費用が別途発生する計算だ。

 一方、BV7-870は垂直多関節ロボットよりも本体価格こそ高いものの、工作機械とセットアップした状態で納めるので、システム構築費を抑えられる。そのため、垂直多関節ロボットを使う場合に比べ、導入にかかるトータルコストを低減できるという。
 柳克也産業機器営業部長は「これまで操作の難しさやコストの高さから導入に二の足を踏んでいた中小企業の顧客にぴったりの製品」と自信を見せる。

 現在は、スピーディオの中でも主力機種の「S300X2」「S500X2」の2機種にだけ対応する。今後、対応機種を順次拡充する考えだ。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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