産ロボに新たな役割か? 工作機械との違い一層鮮明に
突発事象のない限り
日本のロボット業界と工作機械業界。市場規模は2倍近く開きがあるが、リーマン・ショックの影響で著しく下落した09年から過去最高額を記録した18年まで、双方が同じように推移してきた。
上のグラフは日本工作機械工業会(日工会)の会員受注額と日本ロボット工業会(JARA)の会員生産額の比較だ。07年の1~3月期を100として四半期ごとにまとめた。両者の値の関係の強さを示す相関係数は0.78で、強い相関性が見られる。それぞれ長年、日工会は受注額、JARAは生産額を基準にしており、今回はそれに従った。
グラフを見ると①14年前後②16年前後――の2カ所で両者に大きな差が生じる。そこで13年以降を拡大したのが、右のグラフだ。
①の期間では、日工会の受注額が大きく上回る。日工会の見解では、11年の東日本大震災後の経済復調に加え、中国から電子機器製造受託サービス(EMS)向けの小型マシニングセンタ(MC)の受注が集中した時期だ。
②では、15年後半に日工会とJARAの数字が逆転する。JARAの当時の発表資料によると、16年は国内の自動化需要が一気に高まった。17年には中国から省人化に向けた需要も加わり、増加傾向がより強まる。一方、日工会はEMS需要の低下や地政学リスクの高まりで受注額が減少した。
それ以外は同じ軌道を描くため、突発的な事象が起きない限り、両者の傾向は大きく変わらなかったと言える。