2020.11.20 川重の産ロボ技術を医療に! 国産初の手術支援ロボ開発/川崎重工業、メディカロイドなど Tweet 川崎重工業と医療機器・試薬メーカーのシスメックス、両社が50%ずつ出資して設立したメディカロイド(神戸市中央区、浅野薫社長)の3社は11月18日、国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)サージカルロボットシステム」を都内で初公開した。川崎重工の産業用ロボットに関する技術などを生かして開発した製品で、2030年に売上高1000億円を目指す。 4本アームのロボットシステム 手術支援ロボットでは腹部に開けた穴から体内を手術 ヒノトリは、4本のアームを備えたロボット「オペレーションユニット」と、専用の操作設備「サージョンコックピット」で構成。 川崎重工がオペレーションユニットを製造し、メディカロイドがサージョンコックピットやロボット用鉗子の製造とシステム化を担当、シスメックスが総販売代理店として世界に販売する。 ヒノトリという製品名は、医師免許を持つ漫画家の手塚治虫氏の作品「火の鳥」に由来する。 操作する医師と、サージョンコックピットから見られる映像 サージョンコックピットを通して、オペレーションユニットのアームを医師が操作する。患者の腹部などに開けた穴から鉗子や内視鏡などを差し込み、内視鏡の映像を見ながら手術ができる。 操作するアームは、医師が足元のフットペダルで切り替える。 8つの関節で動作の自由度が高い アームの太さは人の腕と同程度(右はメディカロイドの田中博文副社長) 産業用ロボットのアームは6つの関節を持つタイプが多いが、ヒノトリのアームは8つの関節を持ち、動作の自由度が高い。 アームの太さは人の腕と同程度で、アーム同士やアームと手術台横の助手がぶつからないよう制御されている。 手術支援ロボットでは米国インテュイティブ・サージカルの「ダビンチ」が知られるが、手術支援ロボットの買い増しや更新、サイズや価格面で同製品を導入できなかった病院などでの新設需要を狙う。 「産業用ロボットと共通する点は多い」と話す川崎重工の橋本社長 メディカロイドの会長も兼務する川崎重工の橋本康彦社長は「ヒノトリはユーザーである医師の意見を反映させながら開発しており、この『顧客の要望に迅速にこたえる姿勢』は産業用ロボットで鍛えられたもの。人の手技をそのまま移植できる遠隔操作技術など、産業用ロボットと共通する点は多い」と語る。 まずは国内の泌尿器科向けに展開するが、適用範囲や販売先を拡大し、2030年に売上高1000億円を目指す。 (ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)