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2021.04.20

イベント

世界最大規模のオンライン展で見た、ロボットの最新提案/ハノーバーメッセ

世界最大規模の産業見本市「ハノーバーメッセ2021 デジタルエディション」が2021年4月12日~16日の5日間、オンラインで開催された。約1800社・団体が出展し、1万以上の製品や技術を紹介した。最先端のデジタル技術や自動化ソリューションが来場者の注目を集めた。ここでは主要出展者のロボットや搬送システムの最新提案を紹介する。

ページビュー数は累計350万超

開幕初日にはドイツのアンゲラ・メルケル首相がリモートで登壇

 「ハノーバーメッセ」は、ドイツのニーダーザクセン州ハノーバーで毎年開催される世界最大規模の産業見本市だ。
 今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で現地開催が見送られ、「ハノーバーメッセ2021 デジタルエディション」として21年4月12日~16日の5日間にわたりオンラインで開かれた。

 約1800社・団体が出展し、1万以上の製品や技術を文章や写真、動画で紹介した。会期中には出展者のライブセミナーや、大規模なカンファレンス(会議)も催された。初日のカンファレンスにはドイツのアンゲラ・メルケル首相がリモートで登壇し、開会のあいさつを述べた。
 来場は事前登録制で、ライブセミナーやカンファレンスの視聴は有料。主催者によると9万人以上が来場登録をし、会期中のページビュー数は累計で350万を超えたという。

 今回展では、次世代通信規格(5G)や人工知能(AI)などの最先端のデジタル技術や、自動化ソリューションが来場者の注目を集めた。最新のロボットや搬送システムも数多く展示された。

ユーザーの利便性高める

KUKAが提案したiiQKAエコシステムのパッケージシステム

 ドイツのKUKA(クカ)は最新のロボットオペレーティングシステム(OS)「iiQKA(アイキューカ).OS」を初披露した。
 iiQKA.OSはオープンソースのソフトウエア「Linux(リナックス)」を基に構築されており、ロボットのアプリケーションソフトや周辺機器のソフトなどを実装できる。ロボットや複数の周辺機器がiiQKA.OS上で連携して動作する仕組みを「iiQKAエコシステム」と呼ぶ。

 同社は周辺機器メーカーにiiQKAエコシステムへの参画を呼び掛けており、ドイツのシュンクなど3社の周辺機器メーカーがパートナー企業に名を連ねた。パートナー企業の周辺機器を使えばロボットシステム全体を一つのOSで制御でき、ユーザーの使い勝手や利便性が大幅に向上する。

KUKAは初日にオンライン記者会見を開催

 iiQKAエコシステムの具体例として、今回展では協働ロボット「LBR iisy(イージー)」や小型ロボット用コントローラー「KR C5 micro(マイクロ)」、iiQKA.OSを組み込んだ操作デバイス「KUKA smartPAD pro(クカ・スマートパッド・プロ)」などで構成したパッケージシステムも紹介した。
 初日にはオンライン記者会見も開き、iiQKA.OSやiiQKAエコシステムについて報道陣に解説した。

 安川電機は、ユーザーが簡単にロボットシステムを利用できるパッケージ製品「スマートシリーズ」を発表した。ロボットハンドとの接続が完了した状態で納入されるため、ユーザーは一から組み立てる必要がない。また、最初のセットアップも簡単にでき、同社は「箱から出したらすぐに使える」と強調する。
 スマートシリーズのパートナー企業には、デンマークのオンロボットやドイツのワイスロボティクスが名を連ねる。ロボットに不慣れな中小企業が主なターゲットだという。

 イタリアのロボットメーカー、コマウは6軸の協働ロボットの新製品「RACER(レーサー)-5-0.80」を披露した。最大可搬質量は5kgで、最大リーチ長は809mm。2つの速度モードがあり、作業者がいない時は最大毎秒6mで動き、作業者が近づくと同500mmの速度に瞬時に切り替わる。安全性と高い生産性を両立できるのが特徴だ。

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