ライブ配信&バーチャル展示でWRS開催/経済産業省 大星光弘ロボット政策室長
9月に愛知、10月に福島で
――まずは競技会について教えてください。
WRS2020の競技会は、「ものづくり」「サービス」「インフラ・災害対応」「ジュニア」の4カテゴリーで開催され、「インフラ・災害対応」は福島大会、それ以外は愛知大会で実施されます。愛知大会では海外17チーム、国内28チームの合計45チームが参加します(遠隔参加含む)。海外チームは事前準備のため少し前に来日し、入国者に求められる14日間待機も既に終わっています。「ものづくり」部門は工業製品の組み立てを想定したもので、事前に発表されている製品を組み立てるだけでなく、組み立て対象が直前に発表される「サプライズ製品」の組み立てもあります。生配信するだけでなく、動画として後日でも見られるようにする予定です。
――バーチャル展はどのようなものですか?
仮想空間の中を、自分の分身である「アバター」が歩き回る方式です。公式サイト内の「WRS VIRTUAL(WRSバーチャル)」に入ると仮想空間内に、競技会の会場や、ウェブセミナーなどを開くイベントステージがあり、その中に展示会「WRE(ワールドロボットエキスポ)ワールド」の会場もあります。会場内を歩き回って、自由に各社の展示物を見て回れます。こうした形式のバーチャル展は、他にないと思います。リアル開催が難しくなって急きょ作ったものではなく、早い段階からハイブリッド開催を見込み、作り込んだものです。33社・団体が出展し、最先端の技術を披露します。WREワールドは今月2日から公開を開始しています。10月には福島大会もありますから、WRSバーチャルのコンテンツはしばらくは公開し続ける予定です。
来月は「福島ロボットテストフィールド」で
――最近のロボットを取り巻く環境は?
従来からの人手不足に加え、コロナ禍で非接触や人の密集を防ぐ意味でも、ロボットに関する関心が高まっています。工場で稼動するだけでなく、PCR検査をするロボットシステムなど、ロボットが活躍する分野も広がっています。経済産業省では、さまざまな研究機関や企業と連携して、昨年8月にはロボットメーカーなどが基礎技術を共同研究する技術研究組合「産業用ロボット次世代基礎技術研究機構(略称ROBOCIP=ロボシップ)」を立ち上げました。また、さまざまなロボットが稼働しやすい「ロボットフレンドリーな環境」をユーザー産業とともに構築するための取り組みなども推進しています。こうした取り組みに加えて、ロボットへの関心・期待が高まる中で、ロボットの社会実装を加速させるには「最先端の技術で何ができるのか」を、多くの人に知っていただくことが必要です。WRSはまさにそのための場ですから、ぜひとも多くの方々に見ていただければと思います。
(聞き手・構成 ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
経済産業省 製造産業局 産業機械課 ロボット政策室長
大星光弘(おおぼし・みつひろ)
2004年、東京大学法学部卒。04年経済産業省入省、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部参事官、中小企業庁商業課総括補佐、復興庁福島復興局参事官などを経て21年7月より現職。広島県出身、43歳。
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