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2022.02.25

[特集 国際ロボット展vol.5] この分野が熱い【その1】金属加工/クロイツ、コスメック

金属加工の現場では、バリ取りや段取り替えのような人が担う作業がボトルネックになりやすい。工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)メーカーやユーザーはその解消に努めてきたが、現時点でどこまで自動化できるのだろうか。バリ取りに特化したクロイツ(愛知県刈谷市、中田周一会長兼社長)、段取り替え作業の自動化に力を入れるコスメック(神戸市西区、木村公治社長)に、「2022国際ロボット展(iREX2022)」の出展内容も交えて話を聞いた。

バリ取りにベストな選択肢を

クロイツの戸川正宣部長(右)と小島剛営業シニア・アドバイザー

 金属や樹脂を加工した時に発生する「バリ」。バリを残したままにすると製品の品質に悪影響を与えるため、加工現場では「バリは取り除かなければならないもの」と認識される。
 
 クロイツは1989年の創業以来、バリ取りに特化した工具やツーリング(工具を機械に取り付けるための保持具)、設備を開発、製造、販売してきた。

 加工現場では従来、人手作業でバリを除去していた。だが、小島剛営業シニア・アドバイザーは「手作業だと品質のばらつきが多く、バリを取る作業者も不足しており、バリ取りの自動化ニーズは高い」と説明する。そのため、同社はワークの形状にならってバリを除去できる垂直多関節ロボット用フローチングユニットや、バリ取り専用ロボットの拡販に力を注ぐ。

 最大の特徴はロボットそのものに加え、バリ取り用の工具やツーリングもワンストップで提供できること。技術部開発グループの戸川正宣部長は「『なぜこのバリが発生したのか』という過程を知らなければ最適なバリ取りの提案ができない。わが社は顧客のニーズや予算に合わせ、工具やツーリング、ロボットなどのラインアップの中からベストな選択肢を提示できるのが強み」と述べる。

専用ロボットを参考出展

iREX2022で参考出展する新開発のバリ取り専用ロボット

 今回の国際ロボット展には4小間で出展し、工具やツーリング、バリ取り専用ロボットを一堂に展示する。自動化関連では小型で軽量なフローチングユニットの新製品や、参考出展のバリ取り専用ロボットを目玉に据える。フローチングユニットの重量は同社従来機比64%減と軽く、バリ取りの自動化で広く使われる7kg可搬の垂直多関節ロボットに搭載できるのが特徴だ。

 一方、バリ取り専用ロボットには独自開発の天つりの5軸ロボットにツールチェンジャーを搭載し、1台でさまざまなバリを除去できる。「わが社のロボットは加工機に近い構造で、垂直多関節ロボットよりも剛性(変形のしにくさ)が高い。大きなバリでも一回で取り除ける」と戸川部長は強調する。電気自動車のインバーターケースなど、A3用紙サイズの対象物をターゲットに据える。今年5月ごろの発売を目指す。

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