[気鋭のロボット研究者vol.24] 思いつきをやってみる【前編】/近畿大学 柴田瑞穂准教授
軽量化のメリットは大
一般的に産業用ロボットは重く、小型でも数十kg、数百kgあるのが普通だ。それは協働ロボットでも同じ。それだけ重くては、協働型といえ人やものにぶつかると危険だ。劇的に軽量化できれば、衝突してもロボット自身や周囲を傷つけにくく、モーターの出力も小さくて済むなど、多くのメリットを得られる。
柴田准教授はロボットの自重の多くを占める金属製の外装を樹脂に置き換え、しかもフルカバーではなく要所だけを守るフレーム状にした(=写真)。重さはわずか800g。実験では二足歩行タイプのロボットを800mmの高さから落としたが、ロボットは壊れず、床にも目立つ傷はなかった。「位置エネルギーが小さいため、落下しても危険は小さい」と話す。製品化にはフレームの形状などを標準化する必要があり、共同研究も視野に入れる。
――後編に続く
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)
柴田 瑞穂(しばた・みずほ)
2006年立命館大学理工学研究科総合理工学専攻修了。08年立命館大学理工学部ロボティクス学科助教、11年近畿大学工学部知能機械工学科講師。13年同ロボティクス学科講師、近畿大学次世代基盤技術研究所先端ロボット工学研究センター所員。18年近畿大学工学部ロボティクス学科准教授。「ワールドロボットサミット」ものづくり競技委員会委員。福岡県出身の43歳。