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2023.02.10

イベント

検査と物流の自動化提案が花盛り。新技術も続々

東京都江東区の東京ビッグサイトで1月25日~27日、「ファクトリー・イノベーション・ウイーク」などロボット関連の展示会が同時開催された。来場者の注目を集めたのは、検査工程や物流の自動化だ。従来よりも作業内容が複雑で高度な用途の提案が目立った。また、新技術の展示も多く、近未来を感じさせる提案に来場者は足を止めた。

ロボットとAIで外観検査

ハカルスはロボットやカメラ、AIなどを組み合わせた「ハカルスチェック」を出展

 製造業では目視など作業者個人の感覚に頼る検査があり、評価基準が属人化しやすいなどの課題がある。そのため、作業品質の安定などから、もともと自動化が望まれる分野だった。そこに検査や測定機器、画像処理、人工知能(AI)技術の進化もあり、自動化提案が盛んになっている。

 AIソフトウエアなどを提供するHACARUS(ハカルス、京都市中京区、藤原健真社長)は、画像処理AIと協働ロボットを組み合わせた外観検査用のパッケージ製品「HACARUS Check(ハカルスチェック)」を展示した。6軸ロボットアームの先端にカメラと照明を搭載しており、検査対象物(ワーク)を全方位から撮影して、AIが不良の有無などを判定する。

 一般的に、外観検査用のAIは良品と不良品の画像データを大量に学習させる必要があるが、同製品は独自のAI技術で良品データのみで済む。
 今邑恭裕最高財務責任者(CFO)は「機械学習が少量のデータで済む。多品種少量生産の製品や不良品のデータが少ない製品に向く。自動車部品の厳しい検査にも導入実績がある」と話す。

垂直多関節ではなくても

 垂直多関節ロボットを使わず外観検査を自動化する提案も多かった。ベアリングなどが主力製品のNTNは、手首関節モジュール「i-WRIST(アイリスト)IWSシリーズ」を使った外観検査を提案した。
 昨年7月に発売した最大可搬質量3kgの最重量タイプ「IWS-C01」に外観検査装置を付けた。それを直交ロボットに載せ、検査ワークを回す回転テーブルと組み合わせた。これらの組み合わせをパッケージ製品として販売する。
 担当者は「カメラや照明を動かすだけと考えると、垂直多関節ロボットほどの性能が無くても自動化はできる。直交ロボットなどシンプルな機構の組み合わせなので、システム全体の費用を抑えられ、メンテンナンスなども簡単」とアピールする。

 シナノケンシ(長野県上田市、金子元昭社長)も同様に垂直多関節ロボットは使わず、こちらはパラレルリンクロボットで外観検査やねじ締め作業などを提案した。「簡単な動きの自動化に向く。設置スペースを抑えられ、簡単なプログラミングで作業できるため、初心者でも扱いやすい」(担当者)。

  • NTNは「アイリストIWSシリーズ」で外観検査を提案

  • シナノケンシのパラレルリンクロボット

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