「物流自動化」テーマに八幡ねじでWG開催/愛知県
出荷効率が約20%向上
21回目のWGのテーマは「工場内・施設内の物流自動化のためのヒント」。製造業などを中心に約40人が参加した。
WG座長の梅崎太造中部大学教授は「最近は物流自動化の課題も増えている。このWGは『参加型』のイベントなので、参加者の皆さまが抱える課題をこの場にいる全員で議論できれば」とあいさつした。
まずは八幡ねじ商品本部の渡邉雄一郎部長が登壇し、自社の物流自動化の取り組みを紹介した。WGの会場にもなったテクノセンターは一般規格品のねじから特注品まで、主に製造業向けの商品を取り扱う。自動倉庫や自律走行型搬送ロボット(AMR)などを導入し、最小1本から箱やケース、パレット単位の出荷まで柔軟に対応する体制を構築。1日当たり700社、1万件の出荷を実現した。
AMRを導入したのは、テクノセンター2階の小棚ピッキングエリア。オーダーに合わせて作業者が小棚から商品をピッキングするが、従来の商品配置では作業者の移動距離が長くなる傾向があった。移動距離を最小化するため、機械学習を利用して商品配置を最適化する研究を名古屋工業大学と共同で実施。その延長線上で、ロボットベンチャーのキビテク(東京都品川区、林摩梨花最高経営責任者<CEO>)が開発した遠隔復旧支援機能を備えたAMRを昨年秋に導入した。渡邉部長は「AMRが本格稼働してから、出荷効率は約20%向上した」と手応えを語る。
人、物、金、時、環境の切り口で
豊電子工業からは成瀬雅輝常務執行役員と、SI技術部物流開発室の澤島徹担当員の2人が登壇した。
同社はファクトリーオートメーション(FA=工場の自動化)分野のロボットシステム構築がメインだが、近年は製造業の物流センターなどをターゲットにした物流自動化の提案にも力を入れている。WGでは、垂直多関節ロボットや協働ロボット、AMRを活用して段ボール箱のパレタイジング(積み付け)やデパレタイジング(積み下ろし)を自動化する「コンセプトシステム」を動画で紹介し、参加者の関心を集めた。
この他、ロボット導入時に注意すべきポイントもSIerの視点から解説した。澤島担当員は「人、物、金、時、環境の切り口で検討すると、自動化の目的が整理しやすい」と話す。
2社の講演の後はテクノセンターの見学会を実施。自動倉庫やAMRを興味深そうに見つめる参加者の姿が目立った。
その後、講師3人に座長の梅崎教授も加えた計4人が、参加者からの質問や相談に応じる「オープンディスカッション」を開催した。「レイアウト変更が多い現場でどう自動化を検討すべきか」などの質問にそれぞれの立場から意見を述べ、参加者と活発な議論を交わした。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)