どこを見ても新商品・新機能! 注目分野を深耕【後編】/第33回ファナック新商品発表展示会
ファナックは5月13日~15日の3日間、山梨県忍野村の本社で「第33回ファナック新商品発表展示会」を開催した。前編では物流向けや食品向けを中心に紹介したが、製造現場向けの提案も多い。後編では、自動車産業を意識したデモシステムや、ロボットと工作機械を組み合わせた展示などを紹介する。
ロボットで組み立てに加え切削も
ファナックの新商品発表展示会では、産業用ロボットの最大のユーザー業界である自動車を意識した新商品やデモシステムも多数展示された。
その一つが、複数の新商品を組み合わせて構築した、自動車に座席シートを組み付けるデモシステムだ。自動車の組み立てでは、コンベヤーなどで車体をゆっくり流しながら組み付け作業をする。新製品の「モジュール型走行軸」の上に70kg可搬の新機種「M-710」を搭載することで、コンベヤーと同じスピードでロボットが動きながら組み付け作業ができる。
このデモシステムでは、動いている物をリアルタイムにカメラで見て追従する「ビジュアルトラッキング」技術を使用している。そのため、コンベヤーとモジュール型走行軸の同期制御は不要だ。
500kg可搬の「M-950」では、自動車のサイドパネルの搬送を披露した。
高可搬ロボットの場合、重量を支えるためアームの根元側は部材を2本にして平行リンク構造とすることが多い。一方、M-950は高可搬でありながらアーム部材1本のシリアルリンク構造を採用した。
平行リンク構造に比べて動きの自由度が高く、旋回半径も小さくできる。
ロボットアームの先端に回転工具を持たせ、電気自動車(EV)のバッテリーケースを切削加工する展示もあった。通常ロボットでは高精度な加工はできないが、剛性の高い機種を使用することでこの課題を解消した。