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2024.08.02

連載

[進化する物流vol.19]物流業界の変革へ、AI×ロボットで在庫管理を効率化/Dexory

英国ロンドンに本社を構えるDexory(デクソリー)は、ロボット技術と人工知能(AI)を使って物流倉庫内の在庫状況の可視化や在庫管理の効率化を実現するソリューションを提供する。アンドレイ・ダネスク最高経営責任者(CEO)兼共同創業者は「わが社が提供するソリューションを使えば、在庫情報をデータで管理できる。物流業界のデジタルトランスフォーメーション(DX=デジタル技術による変革)を支援したい」と語る。

世界で最も背が高い自律走行型ロボット

最大約14mまでカメラが伸縮する自律走行型ロボット(提供)

 デクソリーは昨年3月、物流倉庫の在庫を検品するカメラとセンサーを搭載した自律走行型ロボットと、在庫管理のAI搭載プラットフォーム「DexoryView(デクソリービュー)」 を使い、オペレーターが物流倉庫の在庫状況などをリアルタイムで把握できるパッケージ製品の販売を開始した。
 自律走行型ロボットは毎日、物流倉庫内を移動しながら在庫状況をカメラでスキャンし、データを収集する。移動できる範囲は1日あたり最大約100万フィート(約300km)で、1時間で最大約1万パレット(荷役台)分もの情報を読み取る。  
 ダネスクCEO は「わが社の自律走行型ロボットは、これまでオペレーターが人手でしてきた物流倉庫内の在庫確認作業を自動化する。最大14mの位置にある在庫もスキャンできる『世界で最も背が高いロボット』だ」と話す。

将来を予見できる

物流倉庫内の在庫状況が可視化できる「DexoryView」(提供)

 自律走行型ロボットが収集した在庫データは、リアルタイムでデクソリービューに反映される。現実空間上とデータ上での在庫状況は連動しており、オペレーターは世界中のどこにいても在庫状況や物流倉庫の稼働状況などを把握できる。
 ダネスクCEOは「自律走行型ロボットもデクソリービューも、既存の物流倉庫の環境を全く変えることなくそのまま導入できる。わが社のパッケージ製品を使えば、物流倉庫の中で何が起きているのかをリアルタイムで可視化できる」と話す。

 また、ダネスクCEOはこのパッケージ製品の強みについて「デクソリービューに集まったデータを基に、将来的に必要な商品数や生産数などを予見できる点にある」と説明する。「在庫情報のデータを踏まえて物流倉庫内のレイアウトや在庫の配置を最適化できれば、より早いピッキングが可能となる。その結果、商品発送の効率が飛躍的に高まる」と自信を見せる。

人手不足を解消する

「物流業界に変革を起こしたい」と語るDexoryのアンドレイ・ダネスクCEO兼共同創業者(提供)

 デクソリーは2015年創業のベンチャー企業で、物流倉庫向けのロボットソリューションやデジタルソリューションを手掛ける。英国や米国、ドイツに拠点を持ち、この1年間で日本や北米、欧州、中近東など世界各地の製造業や物流業の顧客にパッケージ製品を提供してきた。
 「物流業界の人手不足は、日本だけでなくグローバルで大きな問題となっている。わが社が提供するソリューションを使えば、従来は手作業で管理していた在庫情報をデータで管理できる。人手に依存する作業が多い物流業界のDXを支援したい」とダネスクCEOは意気込む。

 現在の社員数はグローバルで130人程だが、そのうち技術者が約7割を占める。「事業をさらに拡大するには、いかに新規顧客を獲得するかが重要だ。そのためにもまずは営業担当の社員を増やしたい」とダネスクCEOは今後を見据える。
                     (ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)

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