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2024.09.03

連載

[SIerを訪ねてvol.47]時計製造の技術を他分野にも/セイコーフューチャークリエーション

ロボットシステムの構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)を紹介する連載企画「SIerを訪ねて」。今回はセイコーフューチャークリエーション(千葉県松戸市、市村誠社長)を取材した。同社はセイコーグループの一社として時計製造に携わりながら、精密機器の製造工程を自動化するファクトリーオートメーション(工場自動化=FA)事業を推進してきた。近年は標準品の開発を進めるなど、さらに自動化の領域を広めようとしている。

時計製造で培った自動化技術

 セイコーフューチャークリエーションは時計メーカー、セイコーのグループ企業。グループ全体の生産技術や品質管理、研究開発などを担う会社だ。生産設備開発を担うFA事業本部は、生産設備の外販もしており、時計以外にも幅広く精密機器の製造装置を開発してきた。
 同社は時計製造で培った精密組み立て技術や画像認識技術を生かし、さまざまな自動化装置を製造する。これまで手掛けてきた装置は、微細な電子部品などの組み立て機や、ハードディスク製造装置など、精密機器の製造装置が中心だ。ユーザー企業の困りごとに応え、オーダーメイドで装置を設計する。
 
 同社は技術理念に3つの「しょう」を掲げる。「”SHO”ism(ショーイズム)」と呼ばれる「匠・小・省」のものづくりの技術理念は、「匠の技術」、「ものや誤差を小さくする」、「エネルギーや資源を省く」という意味を込めている。
 作業者のひと手間をなくすために、同社は設計の段階で徹底的に検証し、使い勝手を向上させる。天蔵基仁FAシステム部長は「現場の意見を取り入れ、自分たちの目で確認しながら生産性と使いやすさを向上させることが重要だ」と話す。


高精度な画像認識技術

位置決めに優れた微細部品移載装置

 同社は長年、精密な機械制御技術を磨いてきた。技術力を示す一例が微細部品移載装置だ。1mm以下の対象物(ワーク)も把持でき、高い位置決め精度を誇る。肉眼では確認できないほど小さくプリントされた数字もカメラで瞬時に認識し、ピッキングして向きをそろえて再配置できる。

 また、自社開発した超小型パラレルリンクロボットを使ったシステムでは、ワークをカメラで認識後、回転する台座上のワークの動きに合わせ自動でロボットが追従し、ピッキングする。「ロボットの制御や画像認識の精度の高さは長年の時計製造で技術を磨いてきたからこそ」と天蔵部長は語る。

  • ロボットの制御や画像認識の精度の高さはわが社が誇る技術と語る天蔵基仁FAシステム部長

  • 自社開発したパラレルリンクロボットを使ったシステム

超小型パラレルリンクロボット稼働の様子


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