[進化する物流vol.20]SQA技術でピッキングステーションも最適配置/シャープ
構内物流の自動化も提案
シャープは自社イベント「シャープテックデー」で合計52個の新技術や新製品を展示した。家電製品や通信技術の展示も多いが、製造業など産業向け技術を展示した「スマートインダストリー」ゾーンでも15個の新技術を披露した。
特に大きな注目を集めたのが「次世代SQAロボットストレージシステム」だ。同社は近年、工場や物流センターの構内物流向けの自動化ソリューションに注力する。ロボットストレージシステムは、棚搬送式のAGVを中心にした倉庫自動化システムで、保管量を増やす多層化や、仕分け機器やパレタイズ/デパレタイズロボットとの組み合わせなど幅広く提案する。
今回のイベントでは、このロボットストレージシステムに「シミュレーテッド量子アニーリング(SQA)」技術を組み合わせた。SQAは、量子コンピューターのような計算を、通常のコンピューターで疑似的に再現する技術だ。通常のコンピューターでは対応できないレベルの膨大な組み合わせパターンを計算し、最適な組み合わせを短時間で割り出せる。
次世代SQAロボットストレージシステムでは、このSQA技術を使うことで保管棚だけでなく、人が荷物を受け取るピッキングステーションの配置まで最適化が可能だ。保管棚同様、ピッキングステーションもAGVで搬送できる構造にし、入出荷の状況やピッキングスタッフの数などに合わせてレイアウトを変更する。
「ピッキングスタッフの少ない時間帯はステーションを連結して多台持ちにする、短期間に出荷量がとても多い物品がある場合は保管場所にピッキングステーションを横付けするなど、多様な配置が可能。ピッキングステーションまで最適配置する提案は他にない(同社調べ)」と技術説明員は言う。ロボットストレージシステムは既に販売しているが、SQA版は参考出展だ。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)