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2024.10.04

[進化する物流vol.20]SQA技術でピッキングステーションも最適配置/シャープ

シャープは9月17日・18日の2日間、東京都千代田区の東京国際フォーラムで新技術を発表する自社展「SHARP Tech-day(シャープテックデー)」を開催した。無人搬送車(AGV)を使った倉庫自動化システムと、研究を進める「シミュレーテッド量子アニーリング(SQA)」技術を組み合わせたソリューションを参考展示した。「他社にはまねできない、シャープならではの提案」と説明員は言う。

構内物流の自動化も提案

 シャープは自社イベント「シャープテックデー」で合計52個の新技術や新製品を展示した。家電製品や通信技術の展示も多いが、製造業など産業向け技術を展示した「スマートインダストリー」ゾーンでも15個の新技術を披露した。

「ロボットストレージシステム」とSQA技術を組み合わせ、参考出展

 特に大きな注目を集めたのが「次世代SQAロボットストレージシステム」だ。同社は近年、工場や物流センターの構内物流向けの自動化ソリューションに注力する。ロボットストレージシステムは、棚搬送式のAGVを中心にした倉庫自動化システムで、保管量を増やす多層化や、仕分け機器やパレタイズ/デパレタイズロボットとの組み合わせなど幅広く提案する。

 今回のイベントでは、このロボットストレージシステムに「シミュレーテッド量子アニーリング(SQA)」技術を組み合わせた。SQAは、量子コンピューターのような計算を、通常のコンピューターで疑似的に再現する技術だ。通常のコンピューターでは対応できないレベルの膨大な組み合わせパターンを計算し、最適な組み合わせを短時間で割り出せる。

AGVがピッキングステーションも搬送する

 次世代SQAロボットストレージシステムでは、このSQA技術を使うことで保管棚だけでなく、人が荷物を受け取るピッキングステーションの配置まで最適化が可能だ。保管棚同様、ピッキングステーションもAGVで搬送できる構造にし、入出荷の状況やピッキングスタッフの数などに合わせてレイアウトを変更する。
 「ピッキングスタッフの少ない時間帯はステーションを連結して多台持ちにする、短期間に出荷量がとても多い物品がある場合は保管場所にピッキングステーションを横付けするなど、多様な配置が可能。ピッキングステーションまで最適配置する提案は他にない(同社調べ)」と技術説明員は言う。ロボットストレージシステムは既に販売しているが、SQA版は参考出展だ。

 その他、スマートインダストリーゾーンでは仮想空間内に倉庫を再現してその中で事前に作業訓練ができるVR技術や、自動車組み立てなどの現場で対象物に直接作業指示を投影できる視認性の高いプロジェクターなどを紹介した。

  • 仮想空間内に倉庫を再現した。倉庫作業の事前トレーニングができる。

  • 対象物に作業指示を直接投影

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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