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2024.10.23

連載

[活躍するロボジョvol.34]想像力をもって開発を/ニコン 今井桃夏さん

ロボット業界で活躍する女性にスポットを当てた連載「活躍するロボジョ」。第34回で紹介するのは、ニコンの今井桃夏さん。大学で画像認識を活用した点群データ処理技術を学んだ今井さんは入社2年目の現在、次世代ロボットビジョンシステムの開発を担当する。試行錯誤する中、「想像力を持って開発することが大事」と力を込める。

ビジョンシステムの次世代機を開発

 ニコンの次世代プロジェクト本部に所属する今井桃夏さんは、次世代ロボットビジョンシステム開発を担当する。
 現在は次世代機の設計を検証するテストベンチ機の設計から、テストベンチ機を使った実験、評価までを一貫して担う。「入社2年目で開発を任せてもらえるのはとてもありがたい。次世代機の設計ではコンパクトさと放熱のバランスが大変」だと話す。 分からない部分や難しい部分は、先輩社員に相談しながら設計を進める。

開発は試行錯誤の日々

ビジョンシステムを搭載したロボットアームを操作する今井さん

 テストベンチ機を設計した後は実際に組み立て、試験する。その際、設計段階では問題ないと思っていた形状でも、組み立てづらい、うまく部品の交換ができないなどの問題が発生することがある。「ベテランの設計者に図面を見てもらうと、私が気づかなかったことを鋭く指摘されます」と今井さん。 「想像力を持って設計することで、事前に防げることはたくさんあります。問題になりやすい箇所を認識し、ミスを防げるようになりたいです」と話す。

 一度の試みで成功させることは難しく、何度も試行錯誤して課題を解決する。今井さんは「トラブルが起きた時には、原因や対処方法について論理的に教えてくれる先輩が大勢いる。どんどん知識を吸収していきたい」と語る。

じっくり取り組んだ研修課題

今井さんは入社2年目で主担当としてテスト機の設計に取り組む

 今井さんは大学では画像認識を活用した点群データの処理や計測分野のプログラミングを学んでいた。その知識を生かせると考え、ニコンに入社を決めた。大学で学んだ分野とは少々異なるが、新しいことを吸収しながら日々業務に取り組んでいる。

「研修では手厚いサポートが受けられた」と語る今井さん

 入社後、半年間の研修で発光ダイオード(LED)スタンドを製作する課題に取り組んだ。アイデアの構想から詳細設計、試験、評価までを一人でこなした。設計規定として、伸びるまたは回転する機構を必ず採用しなければならなかった。多くの同期社員がどちらか片方の機構のみを採用する中、今井さんは唯一両方の機構を採用した。
 「20人の同期のうち、女性は私含め2人でした。個性を出すためにも女性らしいものを製作しました」と今井さん。製作したのはピアスなどのアクセサリーを照らすLEDスタンドで、アクセサリーをつるす部分が回転しながらせり上がる構造にした。難しい機構のため、先輩に相談したり、構造が似ているカメラレンズの機構をよく観察し、設計した。研修成果の発表会では機構の独自性が評価された。「先輩の女性社員がきれいだねと褒めてくれました」と振り返る。

ドラえもんを作るのが夢

7月に移転したばかりのニコン本社前で

 小さい頃から大好きなキャラクターはドラえもん。「大きくなったらドラえもんを作ることが夢でした。その夢がきっかけで機械への興味を持ちました」と今井さんは話す。ひみつ道具にも興味はあったが、ドラえもんそのものを作りたいそう。趣味として、全国各地で売っているドラえもんのご当地キーホルダーを収集している。友人からお土産としてもらった物も多く、宝物として大切に保管している。

 同社では、部署異動や研修を通してさまざまな知識を身に付けられる環境がある。「まずは自分が担当している製品について深く理解したいです。将来的には光学や電気の知識も身に付けて、オールラウンダーとして何でもできる人材になりたいです」と今井さんは意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤安紀)


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