最適な技術を最適な場所へ/三菱HCキャピタル 佐伯孝志ロボティクス事業開発部長インタビュー
ロボット関連業務を集約
――今年4月にロボティクス事業開発部を設立されました。
以前から各部署にロボット関連の業務はありましたが、さらに取り組みを強化するため一つの部に集約しました。わが社でロボットの製造はしませんが、メーカーやシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)と連携して「ロボットサービスプロバイダー」を目指します。
――ロボットサービスプロバイダーとは。
ロボットによる自動化や省人化に関心のある業界は、製造・物流業を中心に多岐にわたります。しかし関心はあってもロボットに関する理解や知識が十分でないケースもあります。加えて近年は技術開発の発展に伴い、実に多様な製品が開発、販売されているため、ユーザーが用途に適した製品を選ぶことがますます難しくなっています。そこでわが社がユーザーからヒアリングしてニーズを把握し、適切なソリューションを提供するというのが、ロボティクス事業開発部の構想するビジネスモデルです。
――強みはどこにありますか。
ロボットや周辺機器だけを提供するのではなく、システムインテグレーションやメンテナンスも含めたパッケージとして提供します。企業や用途によってはどれだけの期間ロボットを使い続けるか読みづらいケースもあるのではと考え、サブスクリプション形式(定額制)のサービスも用意する方針です。リース会社としての経験を生かし、ユーザーにとって最も利用しやすい方法を追求します。
人手不足でロボットの重要性増す
――狙いを定める分野はありますか。
注力分野として、①施設管理②食品③物流(倉庫)④小売⑤建設⑥インフラ・点検⑦製造⑧飲食――の8つを定めました。①~③に関しては、4月以前にも実証実験やロボットサービスの提供などをしてきました。⑦についても、マシナリー営業部で協働ロボットのレンタルをしていました。これからは中小製造業も含めて協働ロボットの導入が一層広がるとみています。
――選定理由を教えてください。
市場の規模や今後の成長性、ロボット技術の浸透度などを踏まえての選定です。これら8分野は、いずれも人手不足が課題です。少子高齢化だけでなく、直近では円安の影響で外国人労働者の雇用も難しくなっています。そのような状況下でも生産性を上げるためにロボットの重要性は高まると考え、ロボティクス事業開発部の設立に至りました。
――ロボットを未活用の領域でも、これから導入が進みそうです。
ロボットを導入するに当たり、人と比べてのコスト面が課題としてよく挙がりますが、そもそも十分な人員を確保できない状況になりつつあります。またコストの問題は、作業内容に対してオーバースペックな製品を選定してしまう、自動化すべき作業の整理ができていないなども原因です。ロボット導入計画の策定や自動化した場合の効果の試算などをわが社でサポートし、そうした課題も解消できればと思います。