[SIerを訪ねてvol.51]徹底したリスク管理と納期管理で「停まらない・壊れない装置作り」を/ジェー.ピー.イー.
一気通貫で対応
「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」とうたわれた戦国武将、真田幸村の生涯を描いた大河ドラマ「真田丸」の舞台として有名な長野県上田市。北陸新幹線が停車する上田駅や上田市役所、上田城跡公園などがある市内の中心地から車で20分ほど移動した場所に、今回訪問したジェー.ピー.イー.(JPE)の本社がある。
JPEは電気・電子部品や自動車、半導体・液晶、食品、計測器などの多岐にわたる業界の顧客に自動機や省力機、ロボットシステムを提供するSIerだ。
機械設計から電気設計、部品加工、組み立て、電気配線、調整、据え付けまで一気通貫で対応できるのが強みで、加工機から組み立て機、搬送機、検査機、そしてこれらを複合したシステムまで多種多様な装置を製作し、顧客のニーズに応えてきた。
近年はロボットを活用した自動化システムの製作実績も増えつつある。幅広いロボットメーカーの製品に対応でき、主に電気設計者がティーチング(動作を覚えさせること)を担う。
また、さまざまな加工設備を保有しているのも大きな特徴で、装置に組み込む部品の内製比率は約70%にも上る。五味剛志社長は「切削加工機やワイヤ放電加工機に加え、レーザ加工機や曲げ加工機などの板金加工機も自前で持っているのはSIerの中でも珍しい。社内に加工設備があるため高い機動力を発揮でき、短納期や緊急の案件にも迅速に対応できる」と語る。
装置用の部品の製造だけではなく、幅広い業界をターゲットとした部品加工のビジネスにも積極的に取り組む。
提案型営業を推進
JPEが工作機械向けのロボットシステムを納入した取引先の一社が、精密部品の研削加工を担う山田製作所(愛知県あま市、山田英登社長)だ。今年3月に新設した第4工場内にある2台のジェイテクト製円筒研削盤に付帯するロボットシステムをそれぞれ構築した。
山田製作所が目指したのは多品種少量生産の自動化であり、JPEはこのニーズに応えるために計20段のパレット(ワークを搭載する台)交換式のロボットシステムを提案。あらかじめワークをセットしたパレットをロボットがストッカーから出し入れした後、パレット内のワークを円筒研削盤に順次供給する。一つ一つのパレットにワーク情報や加工プログラム情報などをひも付けることで、パレットを交換するだけでワークの切り替えができる仕組みを構築し、多品種少量生産の自動化を実現した。