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2024.12.06

イベント

「箱詰めプロジェクト」のキックオフイベントを開催、食品産業の自動化を目指す

エプソン販売(東京都新宿区、栗林治夫社長)、フレアオリジナル(長野県坂城町、田中陽一郎社長)、エヌアイシ・オートテック、SMCが立ち上げた「箱詰めプロジェクト」は11月27日、都内でキックオフイベントを開催した。同プロジェクトは500万円から導入できる安価な箱詰めロボットシステムを共同開発し、主に食品産業の中小企業向けに提案するもの。「食品産業の中小企業は人手不足に本当に困っている。一丸となってこの課題解決に貢献していきたい」と各社プロジェクトメンバーは語る。

販売やサポートの体制を構築

箱詰めロボットの天つり仕様モデル

 同プロジェクトが目指すのは、食品産業の中小企業でも導入しやすいロボットシステムの開発と普及だ。
 食品産業は製造業の中でも人手不足が特に深刻だが、中小の食品工場では「設備投資の予算が限られる」、「スペースに余裕がない」、「技術者がおらず自社での運用が難しい」などの理由でロボットの活用が進んでいない。こうした課題を、パッケージ化によるコスト低減、省スペース設計の採用、運用をサポートする遠隔監視システムの搭載などで解決し、食品産業でのロボットシステムの普及を目指す。将来的には、箱詰め以外の工程への水平展開も視野に入れる。

コンベヤー上を流れる食品を、番重や化粧箱などに箱詰めする

 箱詰めプロジェクトは昨年末からスタートし、ベースとなるシステムは既に開発済み。本格的な事業化に向け販売・サポート体制の構築などを進めていた。
 今回のイベントでは、モノのインターネット(IoT)機器メーカーのGUGEN(グゲン、大阪市西区、杉村和晃社長)やリース会社の日本包装リース(東京都中央区、高瀬裕二社長)、産業用の自動制御機器などを販売する制御機材(東京都新宿区、萬泰弘社長)、ロボットの遠隔操作プラットフォームを提供するリモートロボティクス(東京都港区、田中宏和社長)などの参画企業が集まり、プロジェクトの進ちょくや事業化の流れなどを情報共有した。

「一丸となって食品産業の人手不足解消に貢献したい」と話す高橋亮氏

 既に複数の引き合いがあり、顧客の現場での実証試験を進めていることも紹介。
 「実証試験を2件行い、抽出された課題を解決するところまで行くことが今年度のゴール。食品業界の中小企業は本当に困っており、一丸となって貢献していきたい」と司会を務めたエプソン販売の高橋亮氏は言う。

「食品産業には自動化のニーズがたくさんある」と話す西嶋英樹課長補佐

 当日は農林水産省で食品産業の生産性向上を担当する新事業・食品産業部食品製造課の西嶋英樹課長補佐を招いて講演も行った。
 食品製造現場でロボットを導入・運用する際の衛生管理ガイドラインを定めたことなどを紹介するとともに、「食品産業には自動化のニーズがたくさんある。この箱詰めプロジェクトにも期待している」と語った。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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