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2025.01.06

[年頭所感] 日本ロボットシステムインテグレータ協会 久保田和雄会長

 2025年という新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。平素より当協会の活動に多大なるご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。

 昨年は、国際情勢が不安定さを増し、円安状態も継続したため、当業界においても材料費の高騰やエネルギー価格の高騰により利益率が圧迫された企業も多かったと思います。一方で、コロナ禍からの本格的な回復が進み、正常な企業活動を行う事ができるようになった一年でもありました。
 我が国ではいよいよ少子高齢化が進み、人手不足への対応が待ったなしの状況となっております。その解決手段の1つが自動化の推進であり、われわれロボットシステムインテグレータ業界への期待が年々高まっていることをひしひしと感じております。
 
 さて、日本ロボットシステムインテグレータ協会(以下、SIer協会)は一般社団法人化から2年目を迎えました。設立以来掲げる「ネットワークの構築」「事業基盤の強化」「専門性の高度化」の3つの柱の活動と、「ロボットSIerを若者があこがれる職業へ」「SI業界の発展のみならず、自動化業界(ロボット業界)全体の発展の牽引者へ」「サイバーフィジカルシステムで、日本を世界一の自動化大国へ」という3つの目標に向けた活動を行っております。本年もこれらの目標のもと、ロボットシステムインテグレーション業界の発展、自動化の推進、ひいては我が国の生産性向上のため全力を尽くしてまいります。以下、いくつかの本年度の注力事業に関してご紹介させていただきます。

1.ロボットSI検定のリニューアル
 2020年より実施しているロボットSI検定ですが、(1)学生・生徒など入門層への門戸の開放、(2)厚労省認定の取得、(3)海外展開に向けて、2025年度より大幅なリニューアルを予定しています。具体的には、現在の3級を新2級に格上げし、入門クラスの新3級を設けます。すでにテキストは作成済みで、2月より複数の工業高校でトライアル試験を開始します。新2級の延長線上となる新1級を新設し、現在の2級はSIエキスパート資格に格上げします。これにより、より多くの方にロボットシステムインテグレーションに興味を持っていただき、社会全体におけるロボット利活用の推進を図ることができると考えております。

2.ロボット安全教育体系の整理
 昨年度よりロボットセンター委員会を当会内部に設置し、ロボットセンターに関わる様々な問題を検討しております。その中で、ロボット安全特別教育の実施内容・方法に関するガイドラインの必要性が明らかとなりました。また、ロボットSI検定への学生・生徒への門戸の開放に伴い、安全特別教育の枠外の方々への安全教育のあり方も問題となってきました。そこで、今年度は当会主導でロボット安全に関する教育体系の整理を行いたいと考えております。

3.地域ロボット導入支援機関との連携
 SIer協会は北海道から沖縄まで日本全国300社の会員が所属する全国組織です。設立より地域のSIer間の交流を図るとともに地方行政とのつながりを強めるべくSIer’s Dayと呼ばれるイベントを日本全国で開催しております。昨年は北海道から九州まで全国10か所で開催いたしました。本年は、経済産業省が進める「ロボット導入地域連携ネットワーク」にも積極的に協力し、地域のロボット導入支援機関とのより強い関係を築くべく活動を行って参ります。
 その他、ロボットアイデア甲子園の開催やロボットSI基礎講座の開催など既存事業は引き続き行って参ります。330社の志を同じくする仲間とともに自動化業界及び我が国の生産性向上の発展のため邁進して参りますのでご支援のほどよろしくお願いいたします。

 最後に、皆様の益々のご発展と、本年が素晴らしい年となることを祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。

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