[気鋭のロボット研究者vol.1]新方式の協働ロボを開発/早稲田大学シュミッツ・アレクサンダー准教授【後編】
安全確保の方式から新たに
シュミッツ・アレクサンダー准教授が協働ロボットの開発を本格的に始めたのは約5年前。「近年、安全柵が不要で人と同じ空間で働ける協働ロボットへの関心が高まっているが、動作速度などまだまだ課題も多い。安全性を確保する方式から新たに考えれば、より良いものが開発できると考えた」とシュミッツ准教授は言う。
既存の協働ロボットの多くは、アームの関節部分にトルクセンサーを搭載する。アームやつかんでいる物が何かに接触すると、トルクの変化を感知して直ちに停止する仕組みだ。この方式で安全性を確保するには、動作速度や駆動トルクを抑える必要がある。
周囲をセンサーで囲って、人が近くにいなければ速く動かすこともできるが、人の隣で働ける協働ロボットのメリットが薄れてしまう。また関節にバネのような機構を組み込むタイプもあるが、加減速時に振動が発生してしまう。
低コストで中小企業にも最適
トルクセンサーを使用せず、安全柵なども不要のため、コストが低い点もメリットと言う。
「動作が速く、安全性が高くてコストが安い。これまでロボット導入が進んでいなかった中小企業にも最適なロボット」(シュミッツ准教授)。
前編で紹介したロボットハンド用センサーの会社とは別に、この協働ロボットを販売する企業も立ち上げる計画だ。「2019年の会社設立を目指す」とシュミッツ准教授は話す。
——終わり
(ロボットダイジェスト編集部)
シュミッツ・アレクサンダー准教授
早稲田大学 創造理工学研究科 総合機械工学科
2007年オーストリア・ウィーン大学で修士号、11年英国シェフィールド大学で博士号取得。同年10月、日本学術振興会の外国人特別研究員に採用され、早稲田大学菅野研究室の博士研究員に。14年同大学大学院の創造理工学研究科助教、17年より現職。オーストリア・ウィーン出身の36歳。
※この記事は「月刊生産財マーケティング」2018年7月号に掲載した連載「今に花咲き実を結ぶ」を再編集したものです。