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2018.11.15

連載

[注目製品Pick Up!vol.2]業界最大35kg可搬はだてじゃない/ファナック「CRシリーズ」【後編】

“緑のロボット”とも呼ばれるファナックの協働ロボット「CRシリーズ」。2015年に発売した「CR-35iA」は最大可搬重量35kgを誇る。また近年は、協働ロボットとモノのインターネット(IoT)技術、人工知能(AI)技術の融合にも力を入れる。「IoT、AIがあれば協働ロボットをより柔軟に運用できる。人・機械・ロボットが連携する世界を実現したい」と稲葉清典専務は言う。

国際的な第三者認証を取得

 前編では35kg可搬の協働ロボットを実現するため、センサーから自社開発したことを紹介した。パワーがありながら人との接触を敏感に検知でき、安全性が高い。 

 「この機種は2015年に協働ロボットとして初めて安全性に関する国際的な第三者認証を取得した。センサー単位で認証を取得するケースは多いが、ロボット全体として認証を取得するケースはあまりない」(稲葉清典専務)。

「信頼性に自信」と話す稲葉清典専務

 また「生産設備としての信頼性にも絶対の自信がある」と稲葉専務は話す。

 「壊れない・壊れる前に知らせる・壊れてもすぐ直せる」が同社の開発ポリシーで、緑のジャケットを外すと下は黄色のロボットだ。表面の色は違うものの、長年の実績がある通常の産業ロボット(=黄色いロボット)の技術を生かした。「安全面が重要な人との協働作業だからこそ、高い信頼性が必要」(稲葉専務)。

自社工場でも活躍する緑のロボット

自社工場でも人とロボットが協働作業する(写真はイメージ)

 自社工場でも35kg可搬の協働ロボット「CR-35iA」を積極的に活用する。

 例えばプラスチック製品を作るための射出成形機を製造する工場だ。
 射出成形機にはボールねじにベアリングを圧入したユニットが使われる。簡単に言えば、金属の丸棒に、金属の輪をはめたような構造だ。この圧入作業に協働ロボットを使う。

 ロボットがボールねじをつかんでプレス機にセットし、その上に人がベアリングを置いてプレス機のボタンを押す。プレス機の圧力でボールねじにベアリングが挿入され、一体化したユニットをロボットがストッカーに収納する。

 ベアリング圧入後のボールねじの重量は約20kg。従来はクレーンを使用した2人がかりの工程だったが、協働ロボットを導入したことで女性1人でもできるようになった。
 「重筋作業と言われる、筋力を要する作業は現場には数多くある。その工程に協働ロボットを組み込めば年齢・性別を問わずに作業がしやすくなる」と稲葉専務は言う。

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