[SIerを訪ねてvol.3]生産ライン全体まで踏み込んだ構築を【前編】/豊電子工業
年間800台の実力
「これだけの数のロボットを扱えるSIerは、国内外探しても多くない」(盛田社長)。
自動車、航空機、電気・電子、半導体――。多種多様な企業が同社にロボットシステムの構築を依頼する。1年間に取り扱うロボットの台数はなんと800台。従業員数もグループ約700人と国内のSIerの中で最大級を誇る。
海外にも展開する。今期の売り上げは約180億円の見込みだが、そのうち70億円ほどが海外で受注したものだ。「仕事があるところは全世界どこでも引き受ける」と盛田社長が話すように、対応エリアは広い。
2017年12月には、各種自動化システムや産業用ロボットシステムの販売、保守メンテナンスサービスのための現地法人をポーランドに設立。近くインドにも拠点を構える予定という。
社内にそろう専門家
「メカは機械屋」「電気は電気屋」。それぞれに専門的な知識やノウハウが必要となり、別々の企業が担当することが多い。豊電子工業の強みは、そのどちらも1社で請け負うことができる点だ。
部品加工に加え、配電盤の製造事業で培ったノウハウもあり、ロボットに必要なソフトウエアも自社で作れる。「メカ、制御、ソフト、の専門家が社内にそろうのは、他社にはない強み」と盛田社長。豊富な人材のおかげで、顧客からの依頼に対し、設計から設置、品質保証までを社内で完結できる。
同社が本社を置く愛知県刈谷市は、トヨタ自動車をはじめ、自動車部品の大手も集うものづくり企業の集積地。そうした大手企業からは、自動化の方法が確立されていない難しい依頼が多く、顧客でもまだ知見のない案件ばかり。豊電子工業の従業員も「本当にできるのか?」と思うような仕事だという。
「出された課題を苦労の末、解決する経験が、会社全体の技術力の向上につながった」と盛田社長は分析する。