引き合いは好調も98%がエンジニア不足/FA・ロボットシステムインテグレータ協会
引き合いは55%超が「増加」
同調査は定点観測として今後毎年実施するもので、公表するのは今回が初めて。景況感や人材確保の状況、事業の課題などを聞いた。SIer会員207社のうち72%の149社が回答した。
同調査によると、2020年に対する21年のシステムインテグレーション(SI)業務の引き合いは「増加」が55.8%と大半を占めた。次いで多いのは「横ばい」で28.6%だった。「減少」との回答は8.8%にとどまった。引き合いが最も増加している分野では「自動車」との回答が最大で34.1%となった。
20年に対する21年のSI業務の売り上げは、「増加」が46.9%、「横ばい」が37.1%、「減少」が9.8%だった。
引き合いや売り上げは好調だが、利益率については「横ばい」が46.5%と最大で、「増加」は34.7%だった。久保田会長は「自動化需要は回復しているものの、半導体などの不足による納期の長期化や原材料価格の高騰がわれわれの業界にも大きく影響しているのではないか」との所感を述べた。
自由回答欄では「工程間搬送の自動化などロボットの需要は増加している」「人手不足による中小企業の自動化への設備投資意欲が旺盛」などの声がある一方、「引き合いは多いが具体化率は低い」といった声もあった。
エンジニア不足でビジネス機会の損失も
自社のエンジニアの過不足感については、「やや不足」が58.6%、「非常に不足」が39.3%となり、合わせると約98%が不足していると回答した。
人材が不足している工程は、複数回答ありで74社が「仕様定義(事前検討)」、70社が「企画構想」、67社が「機械設計」、59社が「電気設計」と答えた。
エンジニアが不足していると答えた142社のうち101社が「ビジネス機会の損失」が発生していると回答した。
同協会は今年注力する取り組みの一つとして、エンジニアのSI技術を証明する同協会の資格制度「ロボットSI検定」を挙げる。「今年は2級を会員限定でプレ実施し、3級を会員以外にも初開放する。この検定が多くの若い人の目指す資格となれば、SIerの認知度向上や人材確保につながる。より多くの人に門戸を広げていきたい」と久保田会長は述べた。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)