[気鋭のロボット研究者vol.5]3Dプリンターを使って開発加速【後編】/立命館大学平井慎一教授
型を作りシリコンを成形
シンプルな構造が大事
食品のハンドリングという課題に対し、ソフトハンドという答えにたどり着くまでには試行錯誤があった。ワイヤをワークの底に回し、絞り込んで固定し持ち上げるハンドもその一つ。ハンドリングはできたが、ワイヤが汚れやすく、メンテナンス性に問題があった。平井教授は「構造の複雑なものは、優れていても普及しにくい。構造や制御がシンプルで、メンテナンスしやすいソフトハンドを追求したい」と話す。
また、「ロボットを一過性のブームで終わらせないためにも、継続的な需要を生み出すことが必要」と語る。食品分野は人の生活に関わるため景気の変動を受けにくく、安定した需要を見込める。ソフトハンドの実用化により、ロボットがより一層普及することが期待される。
――終わり
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)
平井慎一(ひらい・しんいち)
立命館大学 理工学部 ロボティクス学科 教授
1987年京都大学大学院工学研究科数理工学専攻博士課程進学。89年7~12月米国マサチューセッツ工科大学客員研究員。90年京都大学大学院工学研究科数理工学専攻博士課程単位取得退学。同年大阪大学工学部電子制御機械工学科助手。91年工学博士。95年助教授。96年立命館大学理工学部ロボティクス学科助教授。2002年教授。03~07年立命館大学理工学部21世紀COE研究専念教員。宮崎県出身の55歳。
※この記事は「月刊生産財マーケティング」2019年3月号に掲載した連載「今に花咲き実を結ぶ」を再編集したものです。
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