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2019.08.19

イベント

「ロボット特区」にSIerやユーザー集う/相模原市など

相模原市とさがみはら産業創造センター(相模原市緑区、橋元雅敏社長)は8月1日、相模原市緑区のサン・エールさがみはらで「産業用ロボットビジネスフォーラム」を開いた。FA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会、久保田和雄三明機工社長)との共催で、同協会がロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)向けに開くイベント「SIer’s Day(エスアイアーズデー)」も兼ねて開催した。

「隠れSIer」の発掘が重要

「ロボットビジネスの聖地」を相模原市は目指す

 相模原は、神奈川県が指定する「さがみロボット産業特区」の一つ。この特区には10市2町が指定されており、各自治体が介護ロボットや医療ロボットの商品化などを支援するが、相模原市は産業用ロボットの普及に力を入れる。「ロボットビジネスの聖地」を目標に掲げ、産業用ロボットの導入を促進するための独自の助成制度などを整備する。

 産業用ロボットビジネスフォーラムも、産業用ロボットの普及促進とロボット産業の活性化のための取り組みの一つ。相模原市周辺のロボット導入を考える事業者や、ロボット関連事業を行う事業者間のネットワーク構築を目的として年に数回開催する。今回はロボット導入を考える企業やSIerなどから100人以上が参加した。

「相模原には潜在的なSIerが多い」と話す佐藤知正名誉教授

 会の冒頭では東京大学の佐藤知正名誉教授が開会のあいさつをし、相模原市は戦前に軍の施設を集めた軍事都市として整備され、戦後は工業団地として発展したことなどを紹介した。
 また、同市内には自動車や電機メーカーからの依頼を受けて生産設備を受注生産する設備メーカーが多数存在することを指摘。「設備メーカーは生産設備にロボットを組み込むこともあり、SIerになり得る。現在はロボットシステムを構築するSIerの数が足りないと言われるが、このような『隠れSIer』を発掘して、高付加価値なシステムを作れる『スーパーSIer』に育成することがロボット産業を活性化する上で重要」と述べた。

広島の先進事例を発表

国枝潤係長は「ひろしま生産技術の会」の活動を紹介

 今回はSIer協会のイベントも兼ねており、SIerが多く登壇した。
 ヒロテック(広島市佐伯区、鵜野徳文社長)生産技術研究所の国枝潤係長は「ひろしま生産技術の会」の活動を紹介。県の欧州視察で見た現地の工場に触発され、同社を含む3社が2003年に立ち上げたのが同会だ。「24時間365日無人稼働の実現」を活動テーマに掲げ、年4回程度の定例会議に加えて工場視察などを続けてきた。
 現在は、ロボットなどを駆使した高効率なものづくりの実現を目指す「アクションチーム」11社と、SIerやSIerを目指す企業からなる「システムチーム」15社の、計26社が加盟する。その他、研究機関や行政、金融などの17団体の支援メンバーがいる。

「ひろしま生産技術の会」は国際ロボット展にも共同出展する

 近年は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして、雑然と積まれた部品を箱から取り出すロボットシステムの共同開発にも取り組んだ。「既製品のカメラを使って低コストで導入できることが特徴。9割方きちんと部品をつかめるが、たまにうまくいかないことがあり、さらなる改善が必要」と国枝係長は話す。

地元SIerは導入手順を説明

 地元相模原市のSIer、JET(相模原市中央区)の遠藤法男社長は、「SIerの事例にみるロボットシステム導入のポイント」について紹介した。業界標準としてロボットシステムの導入手順を定めた「ロボット・システム・インテグレーション導入プロセス標準(RIPS)」を紹介し、RIPSに沿って「引き合い段階で導入を検討する企業は、導入目的や費用、スケジュールなどを明確にし、要件仕様としてまとめることが必要」と述べた。

 その他、さがみはらロボット導入支援センターの佐々木健雄コーディネーターは相模原市が推進するロボット導入支援の取り組みを紹介。閉会のあいさつでは共催者のSIer協会、久保田和雄会長が「日本が今後輸出すべきは、ロボットのシステムでありアイデア。日本がその分野をリードし、世界標準にするためのストーリー、ドラマを当協会が作っていきたい。ぜひとも皆さまに力を貸していただきたい」と呼び掛けた。

  • JETの遠藤法男社長は導入の流れを紹介

  • 「今後輸出すべきはシステムでありアイデア」と言うSIer協会の久保田和雄会長

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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