生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.10.05

インタビュー

低コスト、簡単立ち上げの自動化を/ファナック 山口賢治 社長兼CEO

ファナックは、自社製ロボットやモノのインターネット(IoT)基盤「FIELD system(フィールドシステム)」を自社工場に導入し、自動化やデジタル化を推進する。山口賢治社長兼最高経営責任者(CEO)は協働ロボットに期待しており、従来の「黄色」のロボットを使った高度な自動化システムに加え、「低コストで簡単に立ち上げられる自動化システムも目指すべきもう一つの方向性として追求する」と話す。

小型ロボの生産体制を強化

「ロボット部門の一般産業向けの引き合いは悪くない」と山口賢治社長兼CEO

――コロナ禍で先行きが見通しにくいですが、足元の景況感はいかがですか。
 地域別では、中国はよい状況が続いています。米国はそこそこで、日本や欧州は様子見感が強いです。東南アジアやインドも同様です。事業別では、CNC装置を扱うFA部門や各種加工機を扱うロボマシン部門は、工作機械の需要と直結しているため様子見感が強いです。ロボット部門は、自動車産業向けはよくないですが、一般産業向けの引き合いは悪くありません。

――需要変動の影響を受けやすい工作機械業界向けに重要部品を供給していますが、御社の生産戦略とは。
 わが社は、汎用的な設備と自社商品のロボットを組み合わせた自動化システムが主流です。専用設備を使う考え方もありますが、コストや信頼性、メンテナンス性を考えると、汎用的な設備とロボットの組み合わせが中心になります。自動車メーカーなどと比べると生産量が少なく、品種も多いので専用設備を使うのは難しいです。また、新型コロナウイルス禍の影響で発注をギリギリまで待ち、納期が以前よりも短くなっています。短納期要求に応えるため、部品在庫は少し多めに持つよう意識しています。

自社のCNC装置の製造にもロボットを活用

――CNC装置(工作機械用の制御装置)は山梨県忍野村の本社工場と、栃木県壬生町の壬生工場で生産していますが、その使い分けは?
 生産量は本社と壬生で半々ぐらいです。壬生ではどちらかと言えば、生産する品種を限定し、人数も絞って自動化比率を高めています。本社も自動化は進めていますが、多品種少量生産が多めです。現状は壬生の方が最新鋭の設備が多いですが、コロナ禍が一段落したら本社の設備更新も積極的に進めます。

ロボットでロボットを製造する(写真は本社工場)

――ロボットの生産はどうですか?
 本社工場と茨城県筑西市の筑波工場の2拠点で生産していますが、筑波では最大可搬質量が10~20kgの小型垂直多関節ロボットの生産体制を強化しています。IT関連などで小型ロボットの需要が拡大しており、増産のためにロボットの自動組立システムの構築を進めています。

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