[気鋭のロボット研究者vol.18]ドローンの応用で安定した懸垂を【後編】/中央大学 大隅久教授
垂直多関節ロボの可動範囲を広げる研究から
大隅教授は1994年から、ワイヤでつり下げた垂直多関節ロボットを研究する。
複数のワイヤでつり下げて移動させる仕組みで、垂直多関節ロボットの可動範囲は大幅に広がる。システムを安定して稼働させるには、ワイヤの先でロボットを固定するベース部分が揺れてはならない。そこで、揺れない懸垂機構を研究する。
まず、ロボットのベースを6本のワイヤでつり下げた。すると、揺れにくい懸垂機構ができた。
「要はX、Y、Zの3方向とそれぞれの回転軸で合計6軸を固定できれば、物は空間上を動かない。1本のワイヤで1軸を固定した」(大隅教授)。しかし、可動範囲があまり広がらなかった。
可動範囲が広がるも、今度は揺れが
次に4本のワイヤでつり下げた。可動範囲は広がったが、今度はロボットの動作で重心が変化して揺れた。そこで、重心の変化を抑える機構が必要になった。
当初は、重心の変化に応じて、つり合いを取る重りを付けた。重りの乗った直交軸をベースに搭載し、重心の変化を打ち消すように重りを移動させる。
しかし、直交軸の動きで別な揺れが生じた。
大隅 久(おおすみ・ひさし)
1985年東京大学工学部卒。87年同大学院修士課程修了、91年同博士課程を修了し、同専任講師。93年同助教授。94年中央大学理工学部助教授。2001年から現職。登山と写真撮影が趣味で、研究室には自身で撮影した紅葉時の山岳などの写真を飾る。東京都出身の59歳。
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