[ロボットが活躍する現場vol.33] ロボット切削で鋳物の砂型を直接造形! 次世代鋳造技術を共同開発/オークマ、木村鋳造所
ロボットが砂型の造形も型合わせも
オークマと木村鋳造所は共同で、次世代鋳造技術を開発した。その技術を活用したシステムを木村鋳造所の群馬製作所に設置。昨年6月にシステムの開発が完了し、量産での稼働を開始した。
同システムではまず、バインダー(粘結材)が混ざった砂を500×500×140mmのブロック状に押し固める。次に回転工具を持たせたロボットでそのブロックに直接切削加工し、求める形状を掘り込む。そのブロックを無人フォークリフト(AGF)で隣の型合わせセルに搬送し、ロボットで上型と下型を組み合わせる。ロボットで中子を挿入することも可能だ。
砂型製作を完全に自動化でき、すぐ横に溶けた金属を注ぐ注湯場と鋳造後の取り出し工程を配置することで、少量多品種品の一貫生産を可能にした。
データを一貫活用するDX
今回の取り組みはロボットを使った自動化であるとともに、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みでもある」とオークマの一木部長は言う。
オークマでは部品を3Dデータとして設計する。一方、木村鋳造所は3Dデータを元に砂型を積層造形する特殊な鋳造方法を事業化するなど、以前から3Dデータの扱いには慣れていた。
そこで、部品の3Dデータを共有し、その後の各工程で活用することで製造工程全体の大幅な効率化を実現した。
例えば、鋳物を製造する場合、温度変化による収縮などがあるため、製造する製品の寸法や形状と、その製品を作るための砂型内部の寸法や形状は一致しない。そのため砂型は別途設計する必要があるが、製品の3Dデータをベースにすることで砂型設計の手間を大幅に軽減した。
また、砂型を切削加工する際の動作経路は、砂型の設計データを基に自動生成する。この動作経路をロボットプログラムに変換するソフトウエアは今回ロボットを納入した安川電機が開発したものだ。
その他、中子の挿入、上下の型合わせ、注湯、鋳造後の切削加工にも3Dデータを活用し、効率化を図る。