ロボット主役のIoT提案など目立つ
中小向けにロボとIoTをパッケージで
東京ビッグサイトでは、IoTなどの展示会「スマートファクトリーJapan」や金属部品メーカーが多く出展する展示会「高精度・難加工技術展」など7つの専門展が12月3日まで開かれている。
スマートファクトリーJapanに出展するITシステム開発企業のディースピリット(松山市、大野栄一社長)は、金属加工機や成形機などから被加工材を取り出すロボットシステム「UNITABLE(ユニタブル) DXシリーズ」を展示した。
ロボットや搬送装置、荷役台(パレット)用の収納棚などをユニット別に用意。顧客の使用環境に合わせて、組み合わせを変えられる。
ロボットユニットには協働ロボットを採用した。ロボットハンドと双眼のステレオカメラを搭載。自社開発の画像処理用ソフトウエアに人工知能(AI)を組み込んでおり、対象物を立体的に認識できる。その位置情報を基にロボットシステムが稼働プログラムを自律的に修正して、対象物を把持する。そのため、事前に大まかな動作をロボットに教示するだけで、簡単に扱える。
無線で電源もデータも
ドイツに本社を置く制御機器メーカーの日本法人、フエニックス・コンタクト(横浜市港北区、青木良行社長)は非接触の電力とデータの伝送機器「NearFi(ニアファイ)カプラ」を参考出展した。国内では2022年中の発売を予定する。
ニアファイカプラは2つの機器の間で、接触せずに電力とデータを伝送できる。10mm以内に近づくと接続されるため、事前の設定は不要。データ通信は通信規格「イーサネット」に対応する。防水性と防じん性を示す保護等級はIP65で、劣悪な環境でも動作を保証する。
担当者は「ロボットとロボットハンドの接続に使える。有線やコネクターの接続がなくなるため、付け替えの手間やミスを低減でき、自動交換もしやすくなる」と訴求する。
仕上げ加工をロボットで
高精度・難加工技術展では、日本スピードショア(大阪府四條畷市、奥野一正社長)が金属の仕上げ加工機とロボットを組み合わせて展示した。
仕上げ加工機「エアロラップ」は、圧縮空気で砥粒(とりゅう)を飛ばして対象物に当て、研磨加工をする。従来は、機械に組み込まれた手袋を介して人が対象物を把持していたが、展示では対象物をつかんだロボットハンドごと加工室内にアームを差し込み、回転させて加工した。そのままでは機械外にまで砥粒が飛び散るため、ロボットハンドを差し込む穴用のカバーなどを内製し、ロボットに装着した。
「従来は顧客の間で、仕上げ加工は人手が良いと考えが強かった。しかし、この3年ほどは、自動化のニーズも増えている。これまでは従来機を応用してきたが、今後は自動化に向く機械の開発なども進めたい」と担当者は意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)