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2019.06.17

インタビュー

満を持して登場!三菱電機が協働専用ロボ、2019iREX出展後に発売も【前編】/三菱電機 武原純二ロボット製造部長

ロボットメーカー各社から協働ロボットが発売されるなか、満を持して三菱電機も「人と協働できる専用ロボット」を発売する。現在販売している産業用ロボットでも、安全のためのセンサーやユニットをつなげれば、人との協働作業が可能なロボットとして安全柵なしで使用できた。開発を進める協働専用ロボットでは、ロボット本体に人が触れるのを前提に、指や手を挟まないようデザインを工夫した他、「ペンダント」と呼ぶ専用の操作盤を使わず、手で直接アームを動かして動作を覚えさせるなど、協働ロボとしての完成度を高めた。LEDライトの色で、ロボットが「動作中」なのか「待機中」なのかを判別できるなど分かりやすさも重視した。今年12月に東京で開催される「2019国際ロボット展(iREX)」に出展し、満を持して発売する予定だ。武原純二ロボット製造部長に話を聞いた。

協働ロボの完成度より高める

――2年前に「2017国際ロボット展」で初披露して以来、開発が続いています。
 競合のロボットメーカーもあるなか、人と協働して作業できるロボットを市場に出す気運が高まってきました。17年当時はプロトタイプの試験機を開発中で、三菱電機として「人との協働作業」に適したロボットを積極的にPRしていこうと出展を決めました。

――17年の国際ロボット展での来場者の反響はどうでした?
 いろんな反響がありましたが、一番多かったのが「量産ラインですぐ使うわけじゃないがちょっと試しに使いたい。貸してほしい」という声でした。実際に試作機を貸したりもしました。協働専用ロボに対し、興味は持たれていると感じます。

これまで通り19年度後半に

――開発はどの段階にまで到達しましたか? 間もなく発売ですか?
 現時点ではまだ明確なことは言えませんが、今年12月に東京で開催される「2019国際ロボット展」で量産版を出せればと考えています。これまでも、ロボット展や自社で開催するプライベートショーなどで開発中の試作機を展示して来場者の反応や反響を探ってきました。これまで通り「2019年度後半の発売をめざす」方針に変わりはありません。

「今年12月に東京で開催される『2019国際ロボット展(iREX)』で量産版を出展したい」と語る武原純二ロボット製造部長

――人と協働作業できるロボットを世に出すのは他社より遅れた?
 国際標準化機構が定めたISO10218に書かれている、人とロボットが作業エリアを共有する協働作業は、従来のロボットでも実現可能です。既に製品化しているオプションの安全ユニットや安全センサーをつなげることで、柵なしで使えます。

 さらに、開発中の協働専用ロボットは、ロボット本体に人が触るのを前提に、アームの可動部などに指や腕が挟まれないようにデザインしています。動作を覚えさせるティーチング作業も、人が直接アームを動かしてできるようにしています。協働専用ロボットは、安全ユニットや安全センサーがなくても、人とロボットがぶつかれば停止します。

――あえて協働専用ロボットを出すと決めたのはなぜ?
 「ロボットを直接触って動かしたい」という、現場の状況や要望があります。従来のロボットではメーカーが開く講習会などに通い、学んでから操作するのが一般的です。操作用のティーチングペンダントを使わなければならず、ペンダントにはいくつものボタンがあり、それぞれ一つ一つに意味がある。その意味を覚えるのも大変で、専用コマンドを使ってプログラミングするのはもっと大変です。

次回はいよいよ、三菱電機が発売に向けて開発を急ぐ、協働専用ロボットの詳細に迫る。

――後編に続く
(聞き手・ロボットダイジェスト編集部 長谷川仁)


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