[特別リポートJIMTOF2022 vol.3] 多台持ちや複数工程を担う
1台で多数の放電加工機を担当/三菱電機
従来、産業用ロボットは固定して使うものだったが、その常識が崩れつつある。手押し台車に産業用ロボットを載せるケースもあるが、無人搬送車(AGV)や自律移動型搬送ロボット(AMR)に載せたシステムの提案も増えている。自律的に移動できれば、担える作業の幅は一気に広がる。
工作機械へのワークのローディングでは、高い位置決め精度が求められるが、AMRの停止位置の精度はそこまで高くない。そこでこのシステムでは、機械側に貼付したマークをロボット側のビジョンセンサーで読み込み、相対位置を把握。その位置関係に合わせて動作を補正するなどして、この課題を解決した。
「切削と比べて加工時間が長い放電加工機はまだまだ自動化が進んでいないが、今後はこういった高度な自動化のニーズも出てくる」と担当者は話す。
爪やジグの交換まで1台で/豊和工業
豊和工業は、AMRに搭載したロボットアームで、マシニングセンタと旋盤というタイプの異なる工作機械を自動化した。自律移動しながらワークを自動交換するだけでなく、ワークを固定するための旋盤用の爪や、マシニングセンタでワークの固定に使うジグ(補助具)の交換まで1台のロボットが担う。
豊和工業は、複数の工作機械をガントリーローダーでライン化したシステムに強みを持つ企業だ。そういったシステムは大量生産では非常に高い生産性を誇るものの、少量多品種生産には対応しにくかった。「今回展示したようなシステムなら、段取り替え(ジグなどのセッティング変更)が頻繁に発生する他品種少量の生産も完全自動化できる」と渡辺健司取締役機械事業部長は語る。