食品向けロボットが注目集める!【その4】/FOOMA JAPAN2023
マイスターの技術を再現/Quiny
スタートアップゾーンは、革新的な技術やアイデアで新しい食品ビジネスの創出を目指すベンチャー企業が出展するゾーンだ。2022年に初めて設置された際には18社が出展した。今年は大幅に規模が拡大し、29社が出展。ロボット関連のベンチャー企業も複数出展した。
同ゾーンでロボットの実機展示をした企業の一つがQuiny(クイニー、金沢市、中村昌弘社長)だ。同社は自動化装置やロボットシステムを設計、製造する企業だ。普段は工場向けのシステムを手掛けることが多いが、会場では開発したばかりの「ビールサーブマイスターロボット」を展示した。
ビールサーバーと協働ロボットが連動し、ビールを注ぐ作業を自動化した。グラスのピックアップからリンス(事前のすすぎ)、注ぎ、泡足し、泡切り、グラス外面洗浄、提供までを全て自動でこなす。
最大の特徴はビールを注ぐプロの技術を再現したこと。専門家の監修を受け、グラスの傾け方や注ぐ勢いなどを最適に調整し、プロが注ぐビールの味を再現した。「シャープ」や「マイルド」といった、泡などの状態が異なる6種類の味でビールをサーブできる。
「プロの技を定量化して再現することに苦労した。空港などでの利用を想定しており、購入検討者は富山市内のショールームで試飲もできる」とマーケティング総責任者の竹中章浩取締役は言う。
必要な要素をパッケージ化して使いやすく/Closer
筑波大学発の人工知能(AI)ロボティクスベンチャーのCloser(クローサー、茨城県つくば市、樋口翔太社長)は、食品工場向けのロボットシステム「PickPacker(ピックパッカー)」を展示した。
スカラロボットとそれを囲む安全パネル、架台、カメラ、ソフトウエアなどをパッケージにしたシステムで、ファナック製ロボットを使用したモデルとデンソーウェーブ製ロボットを使用したモデルを展示。樹脂製の箱に乱雑に入れられたドリップバッグタイプのコーヒーの袋をピックアップしてコンベヤー上の箱に入れる作業などを披露した。
「コンベヤーの横に据え付ければすぐに稼働させられる。操作しやすいことが大きな特徴で、備え付けの画面から選択するだけで対象物の切り替えができ、来場者からの反応も良い」と樋口社長は話す。