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2023.10.23

[注目製品PickUp!vol.59]独自構造の多関節ロボットでロボット業界に挑む/ローレルバンクマシン「xLobomo」

大手通貨処理機メーカーのローレルバンクマシン(東京都港区、池辺正社長)は、初の試みとして産業用ロボットの開発に取り組む。その第1弾が8軸多関節ロボット「xLobomo(クロスロボモ)」だ。新開発の「xMotion(クロスモーション)構造」で、従来の垂直多関節ロボットとは一線を画する動作を可能にした。開発者である次世代第2研究所の繁田知秀シニアエキスパートは「他社のロボットと明確な違いを出すために、独自構造のロボットを開発した」と語る。

アームがスライドする

 一般的な垂直多関節ロボットは人の腕のような動きをする。しかし、ローレルバンクマシンが開発する8軸多関節ロボットのクロスロボモは、クロスモーション構造という直交ロボットと垂直多関節ロボットを組み合わせたような独自構造を採用した。
 「6軸垂直多関節ロボットと違い、人の腕では例えられないような動きができるため、活用の幅は広い」と繁田シニアエキスパートは言う。

 垂直多関節ロボットは、ジョイント(関節)とリンク(関節と関節をつなぐ棒状の部材)で構成される。通常の垂直多関節ロボットでは、リンクの端と端が関節でつながっており、回転軸だけで制御する。一方、クロスモーション構造は、X状に交差したリンクの交点に関節があり、それがスライドすることで自在な動きを可能にする。
 「従来の垂直多関節ロボットには、ロボットの構造上制御不能になる特異点(特異制御)が存在するが、クロスロボモにはそれがない」と繁田シニアエキスパートは話す。

「クロスロボモ」のクロスモーション構造で、アームを自在に動かせる(提供)

 クロスモーション構造によるメリットは大きく分けて2つある。1つは垂直多関節ロボットでは届かなかった場所へアプローチができることだ。「アームの根本付近にある物も容易に取れる。その他にも、棚の奥にある物をつかめたり、無人搬送ロボット(AGV)に載せた時にクロスロボモがAGVのフットスイッチを押したりすることもできる」と活用方法を提案する。

 2つ目は、狭い場所でも使えることだ。垂直多関節ロボットは、棚と棚に挟まれたような狭い場所ではアームの取り回しが難しいが、クロスロボモはアームをたたんで動かすことができ、運用場所を選ばない。

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