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2023.11.20

[特集 2023国際ロボット展vol.5]ソリューション提案に注力/三菱電機 武原純二 主管技師長(1/3)

三菱電機は2023国際ロボット展(iREX2023)で新製品を多数披露するが、単品としての製品紹介、提案以上に、ソリューション提案に力を入れる。メイン展示で電気自動車(EV)向け電池製造のデモラインを提示し、ロボットが組み立て、分解もする「スマートファクトリー」として提案する。その実現に必須のデジタルツールも、前回展ではコンセプト提示の「構想フェーズ」だったが、今回展では正式製品を提示しての「実装フェーズ」に入るという。

電池製造ラインのデモでテーマを訴求

メイン展示のEV向けリチウムイオン電池製造ラインのイメージ

 三菱電機のテーマは「Flexible & Sustainable(フレキシブル&サステナブル)」。単品の製品提案ではなく、ソリューション提案で、顧客事業の継続性や新規開発の投資をサポートできることを示すという。
 特に、ロボットゆえに変種変量生産への柔軟な対応を前提としたスマートファクトリーを提案する。小型ロボットを得意とする技術を生かせるのは、電気精密分野の搬送や組み立て工程。
 「そこでの高速・高精度な作業を実現するのに必要な制御技術こそ、総合力を最も良く生かせる」と、FAシステム事業本部機器事業部ロボット・センサ部の武原純二主管技師長は語る。

 メイン展示は、EV向けリチウムイオン電池製造ラインのデモ。組み立てをした完成品を、分解もする。わざわざ分解するのは、エコの視点も提示するためだ。このラインで使用するのが小型産業用ロボット「MELFA(メルファ)FRシリーズ」の新製品だ。組み立て工程の細かい作業でタクトタイムに影響するのが、ピタリと動きを止める制御技術の高さ。これでタクトタイムを3割ほど短縮できるという。製造ラインのデモをスマートファクトリーとして提示する。

 また新製品は多く、可搬質量80kgの垂直多関節ロボットなど、中型ロボットにも改めて力を入れるという。小型ロボットで構成する製造ラインでも、最終段階のパレタイジングなどで中型ロボットを望む声はあり、「ラインの最終段階まで『オール三菱』で提供できるようラインアップ充実に踏み切った」(武原主管技師長)。垂直多関節ロボットやスカラロボットのコストパフォーマンスに優れるモデルも参考出品する。

 統合ソリューションのコーナーでは、三菱電機が目指すスマートファクトリー実現のためのデジタルツールを紹介する。前回展ではパイロット版として発表した3Dシミュレーター「MELSOFT Gemini(メルソフト ジェミニ)」や、独自の人工知能(AI)「Maisart(マイサート)」を活用したデータ分析システム「MaiLab(マイラボ)」の正式製品を展示し、ロボットとのシナジー効果も含めて提案する。

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