[特集 2023国際ロボット展vol.9]周辺機器は使いやすく、安全に/ロボット周辺機器(1/3)
食品から金属製品まで
ピック&プレースやパレタイジングなど、搬送作業にはロボットハンドが欠かせない。指でワークを把持するタイプや吸着して持ち上げるタイプなどがあるが、共通して重要なのは安定してつかめること。その上で可搬質量や動作速度を上げられるよう、各社が開発に取り組む。
スウェーデンに本社を置く真空機器メーカー、ピアブの日本法人ピアブ・ジャパン(東京都葛飾区、吉江和幸社長)は、吸着パッドの新製品「FCX50」を出展する。
FCX50はシリコン製の吸着パッドで、表面に凹凸のある食品の搬送に向く。吸着面の直径は50mm。表面に凹凸があっても真空状態を作り、ワークを吸着できる。展示会場ではパイナップルの搬送デモを披露する。
オートメーション事業部の岩田真プロダクトセールスマネジャーは「協働ロボットの出現で、ロボット導入のハードルが下がってきた。結果としてこれまで以上に多くの企業が自動化を検討し始め、ピッキングの対象物が多様化している。真空機器を活用すれば軟らかい対象物もつぶさず、確実に把持して搬送できる」と話す。
また現在、協働ロボットでパレタイジングを自動化するのがトレンドの1つ。処理速度を高めるためには、ハンド自体の質量が重要という。
パレタイジングに向く同社の真空グリッパー「Kenos Safe&Light(ケノス セーフ&ライト、KSL)」は、サイズが幅320mm×奥行き160mmで、本体質量が約1.3kgと非常に軽い。「ハンドが軽ければ、その分ロボットの可搬質量に余裕ができ、早いスピードで動かせる」(岩田マネジャー)。
同社はロボットの活用シーンを広げられるように、多様なハンドの開発に取り組む。岩田マネジャーは「わが社は食品や包装製品などに特化しているイメージを持たれているが、重厚長大産業向けの実績も多い。ユーザーの課題解決に向け、自動化の方法や条件を突き詰めて提案したい」と語る。