多様なプレーヤーを巻き込み、連携することが鍵になる/経済産業省 石曽根智昭 ロボット政策室長(1/4)
品質だけでは勝てない
――7月にロボット政策室長に就任されました。
これまでも間接的に製造業に関わることはありましたが、ここまで直接製造業に関わるポジションは初めてです。そもそも、ものづくりの支援がしたいと経済産業省に入省したため、念願がかないました。
――そうなのですね。ロボット業界の現状認識や課題について教えてください。
日本には名だたる産業用ロボットメーカーがそろっており、世界をけん引しています。一方、シェアが低下傾向にあることも事実です。これまでは世界シェアの半分以上が日本のロボットでしたが、半分を割ってしまいました。競合は欧州にもありますが、最近特に目立つのが新興国のロボットメーカーです。
――新興国というと、中国などのメーカーですか?
そうですね。中国メーカーは価格優位性があり、最近は品質の面でも競争力を高めています。
――品質も高まっているのですか?
前職の製品安全課でも感じていたことですが、「中国製は品質が低い」というのは昔の話です。中国にも技術力がある会社と、他社のまねをしてそれらしいものを作るだけの会社の2種類があります。後者は確かに品質に問題がありますが、前者は日々品質を高めており、強力なライバルになると考えています。
――なるほど。
「日本製は高品質だから大丈夫」、これは昔、家電業界などでよく言われていました。ですが今では、世界の家電市場に占める日本のシェアはかなり低くなっています。いわゆる「イノベーションのジレンマ」で衰退してしまいました。